三菱電機、基板実装型の金属腐食センサーを開発:金属部品の腐食を段階的に検知
三菱電機は、プリント基板に実装可能な「金属腐食センサー」を開発した。複数の金属腐食センサーを組みわせて用いると、産業用機器内の金属部品が大気中の硫黄化合物などで腐食していく状況を、段階的に検知することができる。
産業用機器内の環境とほぼ同じ状態で測定
三菱電機は2019年9月、プリント基板に実装可能な「金属腐食センサー」を開発したと発表した。複数の金属腐食センサーを組みわせて用いると、産業用機器内の金属部品が大気中の硫黄化合物などによって腐食していく状況を、段階的に検知することができるという。
開発した金属腐食センサーは、金属薄膜と抵抗体で構成される。導体である金属薄膜に抵抗体を直列に接続することで感度を高めた。外形寸法は1.6×0.8mmと小さく、プリント基板への実装を可能とした。このため、機器内部の環境とほぼ同じ状態で、金属腐食の進行状況を検知することができる。従来のように、センサーを外付けする必要もない。
金属は、硫黄化合物など大気中の腐食性ガスによって表面から内部へと腐食が進み、金属サビとなる。これによって金属の抵抗値は数十万倍も高くなるという。このため、腐食により抵抗値がどれだけ増加したかを測定すれば、その進行度を把握することが可能となる。
そこで今回、複数の金属腐食センサーを組み合わせて、金属部品の腐食進行度を検知する技術を確立した。具体的には、金属薄膜の材料や厚みを変えることで、腐食の進行度を調整した複数の金属腐食センサーを用意し、これらのセンサーから得られる合成抵抗値を測定。各金属腐食センサーが断線した時の合成抵抗値変化から、金属部品の腐食進行度を段階的に検知する仕組みである。
同社は今後、開発した金属腐食センサーを自社の産業用機器などに搭載し、機械の故障を未然に防止していく予定である。
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