車体制御用レギュレーターの一掃を狙う超小型DC-DC:最大36V入力、600mA出力(2/2 ページ)
トレックス・セミコンダクターは2019年11月1日、車載ICの品質規格である「AEC-Q100」に準拠した最大入力電圧36Vの同期整流降圧DC-DCコンバーターとして「世界最小」(同社)をうたう「XD9267/XD9268シリーズ」を発表した。主に車体制御システムなど従来電源ICとしてレギュレーターを使用していた用途に向けて提案を行う。
ハイサイドスイッチにP-Ch MOSFETを採用し、クランキングにも強い
新製品は一般的なDC-DCコンバーターと異なり、ハイサイドスイッチにPチャンネルMOSFET(以下、P-Ch MOSFET)を採用している。P-Ch MOSFETは、一般的なDC-DCコンバーターのハイサイドスイッチに用いられるNチャンネルMOSFETでは不可能な100%デューティー動作に対応できる。このため、エンジンスタート時に見られる入力電圧の急峻(きゅうしゅん)な低下(クランキング)の際でも、出力電圧の降下幅を最小に食い止めることができる。「P-Ch MOSFETは、N-Ch MOSFETに比べ、ドライバ回路規模が3倍程度になるという欠点があるが、その他の回路を工夫して小さくすることで、P-Ch MOSFETを採用しながら、世界最小のパッケージサイズを実現した」という。
コイル一体型パッケージ品も展開へ
XD9267/XD9268シリーズは、小型のUSP-6C品の他、SOT-89-5品(パワーグッド機能なし)なども用意。動作温度範囲は−40〜+105℃で、AEC-Q100 Grade2に準拠している。サンプル価格は1個100円(税別)で既に量産出荷を開始している。さらに、XD9267/XD9268シリーズのチップとともに、コイルを同一パッケージに内蔵したDC-DCコンバーターモジュール「XDL605/XDL606シリーズ」の製品化も予定し、2019年11月中にサンプル品、評価ボードの出荷を開始し、2020年1月から量産を開始する見込みだ。
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