「特別じゃない」、12ビット分解能オシロコープ:テレダイン・レクロイ
テレダイン・レクロイは、12ビット分解能のオシロスコープに4チャンネルタイプで普及価格帯の「WaveSurfer 4000HD」シリーズを追加した。200MHzモデルの価格(税別)は87万円と安価である。
「プレミアム」から「普通」へ、200MHzモデルが87万円
テレダイン・レクロイは2019年11月7日、12ビット分解能のオシロスコープに4チャンネルタイプで普及価格帯の「WaveSurfer 4000HD」シリーズを追加したと発表した。周波数帯域が200MHzの製品価格(税別)は87万円で、従来の8ビット分解能のオシロスコープと同等レベルの価格帯を実現した。
オシロスコープ業界はこれまで、8ビット分解能モデルを中心に最大100GHzなど、広帯域への対応に力を入れてきた。近年は、車載システムやパワーエレクトロニクス、無線通信などの用途で、微小信号をより正確に測定し解析するニーズが高まり、オシロスコープにも高い分解能が要求されているという。
そこで同社は、2011年に帯域600MHzモデルの12ビット分解能オシロスコープを投入。この8年間で7モデルの高分解能オシロスコープを発表するなど、シリーズ化にもいち早く取り組んできた。例えば、2018年7月には帯域が最高8GHzで最長5Gポイントロングメモリを搭載した「WaveProHD」を発表。2019年10月には、最大16チャンネル対応でEV用モーターの駆動回路を解析するための機能を搭載した「WaveRunner8000HD」を投入した。
今回発表した「WaveSurfer 4000HD」は、これまで「プレミアム」と位置付けられてきた12ビット機を、キーデバイスの内製化などにより標準的な価格帯に抑えることで、「普通」に活用できるようにした。
WaveSurfer 4000HDシリーズは、帯域が200MHz、350MHz、500MHzおよび、1GHzの4種類を用意した。最大サンプリング速度は5Gサンプル/秒。最大メモリ長はチャンネル当たり25Mポイントである。外形寸法も273×380×160mmとコンパクトな筐体ながら、12.1型タッチパネルを搭載している。
従来の12ビット分解能オシロスコープ同様、新シリーズにも「HD4096」アーキテクチャを採用している。12ビット分解能を生かすため、低ノイズフロントエンドアンプの搭載や、隣接チャンネルからの漏えいノイズ低減など、システム全体のノイズを抑える技術である。
これらの技術により、WaveSurfer 4000HDシリーズは自身のベースラインノイズ(残留ノイズ)を最小61μVrms(200MHz機で1mV/div@50Ω)まで抑え、DCゲイン精度は±0.5%フルスケールを達成した。チャンネル間アイソレーションは、帯域350MHz以下で1000対1(60dB)以上を確保するなど、より正確な信号測定が可能だという。
この他、「16チャンネルMSO&プロトコル解析」「ファンクションジェネレーター」「スイッチング電源解析」「高分解能スペクトル解析」「デジタルマルチメーター」など、複数の機能を搭載することができる。また、アクティブプローブインタフェース(ProBus)搭載のプローブも、9カテゴリー30種類を用意している。
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