Google創設者のBrin氏とPage氏、46歳で退任:Pichai氏がAlphabetのCEOを兼任
Googleの共同創設者であるSergey Brin(セルゲイ・ブリン)氏とLarry Page(ラリー・ペイジ)氏が、同社の親会社であるAlphabetの役員職を退任した。両氏は46歳で、退任は両氏にとって新たな人生の幕開けとなる。
Googleの共同創設者であるSergey Brin(セルゲイ・ブリン)氏とLarry Page(ラリー・ペイジ)氏が、同社の親会社であるAlphabetの役員職を退任した。両氏は46歳で、退任は両氏にとって新たな人生の幕開けとなる。
Googleは2019年12月3日(米国時間)、公式ブログで、Page氏とBrin氏がそれぞれ、AlphabetのCEO(最高経営責任者)とプレジデントの職を辞すると発表。今後は、過去15年間Googleで勤務してきたインド出身のコンピュータ科学者で、Googleの現CEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏が、GoogleとAlphabetの両社のCEOを務める。Pichai氏はCEOとして、Googleの経営およびその他のポートフォリオへのAlphabetの投資に対する責任と説明責任を負うことになる。
この発表は予想外ではあったが、極めて重大な影響を及ぼすようなものではない。Page氏とBrin氏はかなり長い間、日常的なマネジメント業務から離れていた。さらに、両氏合わせてAlphabetの議決権の51%を保有しており、同社に対する実質的な支配権は維持される。両氏は退任を表明したブログ記事の中で、「今後も取締役、株主、共同創設者としてGoogleとAlphabetに積極的に関与し、長期にわたって深くコミットしていく。特に私たちが情熱を注いでいる案件に関しては、Pichai氏と定期的に協議するつもりだ」と述べている。
これは、両氏にとって”不利益なくメリットを享受できる形”と言えるだろう。
ガレージから始まり栄誉ある企業へと成長を遂げたGoogleは、ことし(2019年)で創業21年を迎えた。Page氏とBrin氏は、「21歳は子供が成人する年齢」として、自身を成長した子供を持つ幸せな父親に例えた。この例え話をしたのは筆者ではない。恐らく、感情に訴え、涙を誘うことを狙ったのだろう。両氏は、「Googleは2019年現在、人に例えると21歳の若者で、巣立ちの時を迎えている。Googleの日々の運営にこれほど長い間、深く関わってきたことを非常に名誉に思う。だが、子供を誇りに思う親として、日常的な小言は言わずにアドバイスと愛を与える役割を担う時が来た」と述べている。
両氏は正しい。愛は教育の基盤である。筆者は3人の子供を誇りに思う母として、彼らに「日々の小言ではなく、アドバイスと愛を与える」と誓う。たとえ彼らが数千億米ドルの年収を稼がなくても、だ。
Page氏とBrin氏は20代前半に、「世界の情報を整理し、普遍的にアクセス可能で有用なものにする」ための検索アルゴリズムを開発。1998年に、Googleを創設した。彼らが30代の時、Googleは、Google News、Gmail、Google Map、Google Chrome、Google+などを次々と発表し、急成長した。そして40代、彼らは退く(しりぞく)のに適したタイミングだと判断したのだろう。一方で米国から遠く離れた欧州では、EUの規制当局が、広告目的のデータ収集と処理、利用、収益化する方法について、Google(とFacebook)に対する予備調査を開始したばかりだ。
Steve Ballmer氏がMicrosoftのCEOを2014年2月に退任した時、同氏は46歳だった。中国Alibabaの創業者であるJack Ma(馬雲)氏が2018年にエグゼクティブチェアマンの退任を発表した時も、Ma氏は46歳だった。
国立経済調査局が発行する「Age and High-Growth Entrepreneurship」と題された最近の研究では、成功した起業家は、若いわけではないことが示されている。実際、最も成長率の高い新興企業を設立した人の平均年齢は45歳である。
Page氏とBrin氏も、46歳で簡単に引退することはできないだろう。技術プロジェクトを追求し、世界の人々がより良く生きられる社会を支援することの方が、(引退よりも)良いアイデアなのではないだろうか。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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