2019年Q3の半導体売上高ランキング、ソニーが9位に:CMOSイメージセンサーで浮上
2019年第3四半期の世界半導体売上高は、メモリ市場は成長の兆しを見せているが、引き続き下落傾向にある。今回の売上高ランキングでは、Intelが引き続き第1を維持した他、ソニーセミコンダクタソリューションズが、今回初めてトップ10入りを果たすという偉業を成し遂げた。
2019年第3四半期の世界半導体売上高は、メモリ市場は成長の兆しを見せているが、引き続き下落傾向にある。今回の売上高ランキングでは、Intelが引き続き第1を維持した他、ソニーセミコンダクタソリューションズが、今回初めてトップ10入りを果たすという偉業を成し遂げた。
全体としては、2019年第1〜第3四半期の世界半導体売上高は、前年同四半期間比で14.2%減に相当する520億米ドル減少している。また、2019年第3四半期の売上高は、前年同期の1305億米ドルと比べて14.7%減となる、1113億米ドルだった。また、2019年第2四半期の売上高は、前年同期比で15.3%減、2019年第1四半期は同12.4%減となった。
市場調査会社のIHS Markit Technology(Informa Techの一部門)によると、2019年全体の半導体売上高は、前年比で12.4%減となる見込みだという。この要因としてはメモリ市場の低迷が挙げられるが、同市場は2020年に、回復の兆しを示すとみられている。
IHS Markit Technologyでシニアリサーチアナリストを務めるRon Ellwanger氏は、「2019年の世界半導体市場は、メモリチップが足かせとなっていた。メモリ売上高は、過剰在庫が深刻化したことや、クラウド/エンタープライズサーバ市場などからの需要が低迷したことなどが原因で、伸び悩んでいた。2019年第3四半期のメモリ売上高は、前年同期比で減少しているものの、同年前期比では増加していることから、メモリ市場が回復傾向にあることが分かる」と述べている。
半導体製品カテゴリー全体の中で、2019年1月〜9月の売上高における前年同期間比の減少率は、メモリ分野が最も大きく34.4%。2番目のアナログチップ分野は6.6%だった。
首位を維持したIntel
IHS Markit Technologyによると、Intelは2019年第3四半期の世界半導体売上高ランキングで第1位を維持し、売上高成長率を同年前期比で16.3%伸ばしている。Intelが、2019年第1〜第3四半期の売上高減少率を辛うじてわずか1.1%に留めることができたのに対し、第2位のSamsung Electronicsは33.8%とかなり大きい。
IHS Markit Technologyで主席アナリストを務めるVladimir Galabov氏は、「Intelは引き続き、全てのアプリケーション市場において優れた業績を達成している。特にワイヤレス市場が好調だ。また同社は、ワイヤレスデバイス向けのモデムや、需要が堅調なセルラー基地局向けのFPGA/ASSPなどを提供している」と述べる。
Intelは、SSDやメモリ市場において、小規模ながらも成長を遂げており、2019年第3四半期の売上高は同年前期比で37.2%増加している。
世界トップ3のメモリメーカーであるSamsungとSK hynix、Micron Technologyの2019年1月〜9月の売上高は、前年同期間比で少なくとも33%減少している。
ソニーセミコンダクタソリューションズが9位に
トップ10にランクインしたメーカーの中で、Intelの他に成長率を高めることができたメーカーは、ソニーセミコンダクタソリューションズだけだった。同社の2019年第1〜第3四半期の売上高は、前年同期間比で27.1%増を記録し、2019年の半導体チップ市場において大きな注目を集めた。ソニーセミコンダクタソリューションズは、2019年第2四半期のランキングでは第15位だったが、第3四半期には順位を6つ上げて第9位を獲得し、トップ10入りを果たした。
ソニーセミコンダクタソリューションズのCMOSイメージセンサー部門は、ワイヤレス端末の売上高が増加したことや、1台のスマートフォンに複数のカメラ(マルチカメラ)が搭載されるようになったことなどを受け、好調を期している。
2020年のメモリ市場をけん引するのはNANDフラッシュ
2020年のメモリ市場において立役者となるのは、NAND型フラッシュメモリだ。
米国の市場調査会社であるIC Insightsは2020年1月に、メモリ市場に関する予測/分析レポート「The McClean Report 2020」を発表する予定だ。同社によると、NANDフラッシュは、2019年の成長率が27%減少するものの、モバイルアプリケーションの重要性が今後も続くとみられることもあり、高密度および高性能NANDフラッシュ向けのソリッドステートコンピューティングの需要がけん引役となって、2020年には回復し、19%の成長率を達成する見込みだという。
今後、モバイルやデータセンター、クラウドコンピュータサーバ、自動車などのさまざまな産業市場において、5GコネクティビティやAI、ディープラーニング、VR(仮想現実)などの勢いが増すとみられることから、NANDフラッシュとDRAMが力強い成長を遂げていくと予測される。
自動車市場では、電子システムを搭載する新型自動車が増加していることから、この先もう1年、堅調な成長が見込まれている。実際に、この分野のロジック/組み込みMPU(マイクロプロセッサユニット)は、過去3年の間、成長率ランキングでトップ5に入っている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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