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視覚障がい者の移動を支援する「AIスーツケース」開発へIBM、アルプスアルパインなど5社(2/2 ページ)

アルプスアルパイン、オムロン、清水建設、日本アイ・ビー・エム、三菱自動車の5社は2020年2月6日、視覚障がい者の移動やコミュニケーションを支援するスーツケース型ロボットの開発に取り組むコンソーシアムを設立した、と発表した。AIや触覚インタフェース、ロボティクスなど各社の技術を統合することで技術開発を加速し、2022年の社会実装を目指す。

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着想は自身の経験から……IBMフェローの浅川氏が発起人

 コンソーシアムの発起人となったのは、自身も視覚障がいがあるIBMフェローの浅川智恵子氏だ。


IBMフェローの浅川智恵子氏

 浅川氏はIBM入社後に点字のデジタル化技術やインターネット専用音声ブラウザの開発など、実生活における視覚障がい者の生活向上を支援する情報アクセシビリティーの研究開発を続けてきた。そして現在米カーネギーメロン大学(CMU)で視覚障がい者のためのスーツケース型誘導ロボット「CaBot」の研究を進めているが、「社会実装にはまだ多くの壁があり、乗り越えるためには業種を超えた企業がアカデミアと一緒に技術や知見を持ち寄ってコラボレーションすることが必要と考えた」(浅川氏)ことから、コンソーシアムの設立に至ったという。


カーネギーメロン大学での実験風景。現在3号機を開発中だ(クリックで拡大)

 ロボットをスーツケース型にした理由は、移動の際にスーツケースを押しながら歩くと、障害物を避けやすい、という浅川氏自身の経験によるもので、浅川氏は「スーツケースなら持っていても自然で、荷物も入れられる」と説明。目標サイズや重量についても、「空港でチェックインができるもの」を目指している。

 コンソーシアムの名称は「次世代移動支援技術開発コンソーシアム」。活動期間は2022年11月30日までの予定で、実現に向けた技術開発のほか、社会的受容性向上ための活動や持続的ビジネスモデルの検討も進めていく方針だ。まずは屋内施設での利用を目標に開発を進めており、2020年6月には東京都内の複合商業施設で公開実証実験を行うことが決まっている。

 視覚障がい者向けとしてスタートした研究開発だが、将来的には自動運転の車いすやAIショッピングカート、さらにはサービスロボットやスマートモビリティなどの幅広い応用も想定でき、「ニーズを分析することで用途はさらに拡大できるだろう」としている。


左から、コンソーシアム代表理事で日本アイ・ビーエム東京基礎研究所所長の福田剛志氏、同理事でオムロン技術・知財本部副本部長研究開発センタ長の竹内勝氏、浅川氏、同理事で清水建設専務執行役員技術研究所長の石川裕氏、同正会員でアルプスアルパイン技術本部開発部主幹技師の白坂剛氏、同正会員で三菱自動車工業車両開発技術本部本部長の原徹氏

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