2020年は“ローラブルディスプレイ元年”に?:ディスプレイ産業フォーラム 2020(2/4 ページ)
市場調査会社であるIHS Markit(テクノロジー系の大部分をInfoma Techが買収し、現在移管中である)が2020年1月30〜31日に、東京都内で「第38回 ディスプレイ産業フォーラム 2020」を開催。今回は、FPDの新しい技術についてまとめる。
青色量子ドットが課題、QDディスプレイ
マイクロLEDディスプレイと並んで関心が高いのがQDディスプレイである。Son氏は「QDディスプレイ市場は今後、安定的に成長するが、さらなる技術開発によって、市場をより拡大することも必要だろう」と述べた。IHS Markitの予測では、QDディスプレイ市場は2019年から2023年にかけて年平均成長率28%で成長し、出荷台数は2023年までに1500万台に達する見込みだという。
QDディスプレイは、Samsungが、量子ドットを用いた液晶TV(一般に「QLED」といわれる)をハイエンドなTVという位置付けで製品化したことで、一気に注目度が高まった。現在は、中国のTVメーカーもQLEDの販売に力を入れている。
Son氏は「信頼性が高い、青色の量子ドットの生産が課題」だと述べる。量子ドットでは粒子の大きさ(粒径)で発光する色が変わる。青色は2nmだ。その青色量子ドットの開発はかなり難しく、「非常にスローペース」だとSon氏は説明した。「青色量子ドットの量産は長期的なプロジェクトになるだろう。政府の支援も不可欠だ」(同氏)。また、QDディスプレイのパターニング技術としては、蒸着が不向きなのでインクジェット印刷などが適していると述べた。
一方でQDディスプレイのビジネス的な側面としては、「高い特性と高い付加価値が必要になる」と指摘した。「利益はまだ期待できない。他の技術を用いたディスプレイに比べて、明確な差異化と、競争力のある製造コストを実現することが不可欠だろう」(同氏)
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