高級オーディオ向けDAC、2チップ構成で提供:デジタルとアナログを完全分離
旭化成エレクトロニクス(AKM)は、高級オーディオ機器向けD-AコンバーターICとして、デジタル処理とアナログ処理を完全分離した2チップ構成のソリューションを発表した。
デジタルノイズの影響を最小限に抑える
旭化成エレクトロニクス(AKM)は2020年3月、高級オーディオ機器向けD-AコンバーターICとして、デジタル処理とアナログ処理を完全分離した2チップ構成のソリューションを発表した。
AKMは、独自の「VELVET SOUND」技術を用いた新世代オーディオ機器向けICの開発に力を入れる。新製品もこの成果の1つである。これまで多くのオーディオ用D-AコンバーターICは、デジタル信号からアナログ信号への変換処理を1チップで行ってきた。今回はこの処理を分離し、2チップ構成にすることで聴感上のSN比を進化させた、新しいコンセプトの製品となる。
新製品は、デジタル処理を行うΔΣ型モジュレーターIC「AK4191」と、アナログ処理を行うD-AコンバーターIC「AK4498」からなる。これらをチップセットで用いることで、従来のD-AコンバーターICと同様な機能を実現できる。
AK4191は、256倍オーバーサンプリング処理のデジタルフィルターを搭載した。信号に含まれているデジタルノイズ成分を高域まで発生させないようにしたという。しかも、デジタルフィルターの抑圧量が50dB向上しており、デジタルノイズ成分を抑えることができる。サンプルレートはPCM32〜1536kHz、DSD1024に対応した。エンジニアリングサンプル品の出荷は2020年第2四半期(4〜6月)を予定。
AK4498は、アナログ処理に特化することで、デジタルノイズからの影響を最小限に抑える構成となっている。THD+N(全高調波ひずみ+ノイズ)は−116dB、SN比は128dBを達成した。製品は既に量産出荷中。
新製品は、高級オーディオ機器の他、アクティブスピーカーやCD/SACDプレーヤー、ネットワークオーディオ機器などの用途に向ける。
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