わずか1gで回転検知、角度誤差補正機能も搭載:オートモーティブ ワールド2020
旭化成と旭化成エレクトロニクス(AKM)は、「オートモーティブ ワールド2020」で、次世代のモビリティに向けた半導体デバイスや微細配線技術の応用例などを紹介した。
線幅2μm、ピッチ60μmで透過率86.5%のTCF
旭化成と旭化成エレクトロニクス(AKM)は、「オートモーティブ ワールド2020」(2020年1月15〜17日、東京ビッグサイト)で、次世代のモビリティに向けた半導体デバイスや微細配線技術の応用例などを紹介した。
ブースで来場者の注目を集めた製品の1つが、開発中の磁気式回転角センサー「AK7455」。2万5000回転まで追従する14ビット回転角センサーで、小型磁石を組み合わせる簡単な構成で、非接触に回転角度を検知することができる。
レゾルバに替わる回転角センサーとして開発しており、小型で取り付け位置の自由度を高めた製品である。外形寸法は5.0×6.4mmの16端子TSSOPで供給する。EVやEバイクのモーター制御、EPSアシストモーター制御などの用途に向ける。「わずか1gで回転検知」というキャッチコピーが目を引く。
角度誤差補正機能を搭載し、軸端(Shaft-End)配置に加え、2極着磁磁石の横にICを配置する軸貫通配置(Off-Axis)配置にも対応することができる。Off-Axis配置を実現したことで、モーターシステムの薄型化や中空構造での使用が可能となる。また、独自技術により10mTという低磁場まで検出することができる。補正後の角度精度は、Off-Axis配置においても±0.1deg(代表値)を実現した。
ブースでは、外乱磁場を補正するデモなどを行った。これによると、補正前は22.39°の角度誤差を生じていたが、補正後はその誤差が0.14°となり、高精度な角度検出が可能であることを示した。
もう1つの注目技術が「屈曲性のある透明導電膜」。PETフィルム上に酸化銅インクを用いて網目状の微細な配線を行い、加熱して金属銅に還元する。250mm幅のPETフィルムを用い、ロールツーロールで製造を行えるのが同社の強みだ。
ブースには、TCF(Transparent Conductive Film)の事例として、線幅が2μm、ピッチが60μmで透過率が86.5%の試作品と、線幅4μm、ピッチ60μmで透過率81.3%の試作品を展示した。
「線幅が3μmで透過率86%時のシート抵抗値は10Ω。この数値は銀配線に比べて約10分の1」(説明員)と話す。同社ではヘッドライトなどに付着した雪を融かす透明ヒーターなどの用途を視野に入れ、自動車メーカーなどに提案していく。また、電磁波シールドとしての応用も可能とみている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- サイプレス、ASIL-B準拠のNOR型フラッシュ
サイプレス セミコンダクタは、「オートモーティブ ワールド2020」で、NOR型フラッシュメモリ「Semper NOR Flash」を搭載したフェールセーフクラスターや、大画面対応でハプティクス(触覚)機能などを新たに追加した、最新のタッチスクリーンコントローラIC「TrueTouch」などを紹介した。 - HDBaseTを使う車載通信用チップ、Valensが展示
イスラエルの半導体メーカーValens Semiconductor(以下、Valens)は「オートモーティブ ワールド2020」(2020年1月15〜17日、東京ビッグサイト)で、車載通信向けに、HDBaseTをサポートするチップセット(送信用チップと受信用チップ)「VA608A」を展示した。 - ams、VCSEL採用の小型LiDARモジュールをデモ展示
amsは、「オートモーティブ ワールド2020」で、車載向けVCSEL(垂直共振器面発光レーザー)技術を用いた小型LiDARモジュールのデモ展示などを行った。 - 28nm FD-SOI車載マイコンやSiCパワーデバイスを公開
STMicroelectronics(以下、ST)は2020年1月15日から東京ビッグサイトで開催されている展示会「オートモーティブ ワールド」(会期:1月17日まで)で、新しい車載マイコン製品群「Stellarファミリ」やSiC(炭化ケイ素)を用いたパワーデバイス製品などを展示している。 - 軸貫通配置で誤差±0.1度の磁気式回転角度センサー
旭化成エレクトロニクスは、「TECHNO-FRONTIER 2019(テクノフロンティア)」(2019年4月17〜19日、千葉・幕張メッセ)で、2極着磁磁石の横に置く「Off Axis配置」でも誤差±0.1度の高精度を実現した磁気式回転角度センサー「AK7454」や、AR/VRのコントローラーに活用できる3D磁気センサー「AK09940」などを展示した。 - 高夜間性能CMOSセンサーなど車載製品展示、オンセミ
ON Semiconductor(オン・セミコンダクター)は、第2回名古屋カーエレクトロニクス技術展(ポートメッセなごや/2019年9月18〜20日)で、ADAS(先進運転支援システム)向けの830万画素CMOSイメージセンサー「AR0820」など、車載向け製品に関する展示を行った。国内の一般向け展示会で、これらの車載向けのセンシングソリューションを展示したのは今回が初めてという。