TI、ダイナミックレンジ120dBのオーディオADC:小さい音声も高い音質で捉える
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、比較的音量が小さい声や、少し離れた場所で話しても、歪(ひず)みが少なく高い音質で録音を可能にするオーディオA-DコンバーターIC「TLV320ADC5140」について、記者説明会を開催した。
Burr-BrownオーディオデバイスにADCファミリー
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2019年11月18日、比較的音量が小さい声や少し離れた場所で呼びかけても、歪(ひず)みが少なく高い音質で録音を可能にするオーディオA-DコンバーターIC「TLV320ADC5140」について、記者説明会を開催した。スマートスピーカーや大画面TVなどの用途に向ける。
TLV320ADC5140は、「Burr-BrownオーディオADCファミリー」として開発したクワッドチャンネルのオーディオA-DコンバーターICである。内蔵したダイナミックレンジエンハンサー(DRE)機能を用いることで120dBのダイナミックレンジを実現した。DRE機能を無効にしても108dBのダイナミックレンジを達成している。これにより、音量が低いオーディオ信号の増幅に加え、周囲の騒音が大きい場所などでも、歪みが少ないクリアな音声を録音することが、可能になるという。
TIでオーディオ製品マーケティングエンジニアを務めるAbhi Muppiri氏は、あくまでも1つの事例と前置きしながら、「会議室などで全体の音量が40dB程度の中で、15dBレベルの音声を捉えることができる。また、高性能マイクを用いると10m以上も離れた位置から録音可能である。この距離は競合製品に比べ4倍に相当する」と、その一例を紹介した。
また、パルス密度変調(PDM)マイクロフォン入力により、最大4チャンネルのアナログまたは、8チャンネルのデジタルマイクロフォンに対応することができるという。
さらに、さまざまな設定をプログラムできるのも特長だ。例えば、チャンネルゲインは1dB単位で0〜42dB、デジタルボリューム制御は−100〜27dBの範囲で、それぞれチューニングすることができる。マイクロフォンのバイアス電圧や電源電圧の生成などもプログラム可能となっている。サンプルレートは8k〜768kHz。チャンネル当たりの消費電力はサンプルレート48kHz時で9.5mWと小さい。
TLV320ADC5140は、外形寸法が4×4mmの24端子WQFNパッケージで供給する。1000個購入時の単価は2.99米ドル。評価モジュール「ADC5140EVM-PDK」も用意しており、数量限定だが価格は199米ドルで提供している。
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