車載電装システム市場、2030年に約49兆円規模へ:富士キメラ総研が予測
富士キメラ総研は、車載電装システムの世界市場を調査した。これによると、2019年見込みの24兆8945億円に対し、2030年は48兆9120億円規模に拡大する。
HV/PHV/EV/FCV系が今後も市場をけん引
富士キメラ総研は2020年3月、車載電装システムの世界市場を調査し、2030年までの市場予測を発表した。これによると、2019年見込みの24兆8945億円に対し、2030年は48兆9120億円規模に拡大すると予測した。
調査は、電動化や自動運転/AI化などの進展によって需要が拡大する車載電装システムや関連するデバイス市場を対象とした。調査期間は2019年10〜12月で、専門調査員が関連企業へのヒアリングなどを行った。
今回の調査では、「パワートレイン系」「HV/PHV/EV/FCV系」「走行安全系」「ボディー系」「情報通信系」に大別し、合計24品目の車載電装システムについて、国/地域別に世界市場を調査した。これらを構成するデバイスと部品22品目についても調べた。
調査結果によると、2019年は2018年に比べ0.5%増とわずかな伸びにとどまった。中国における自動車生産台数が減少し、電装システムの需要が低調に推移したためだ。こうした中で分野別にみると、HV/PHV/EV/FCV系は前年比22.3%増と大きく伸びた。中長期レンジで見ても需要拡大は続くとみており、HV/PHV/EV/FCV系の需要は、2019年見込みの2兆7589億円に対し、2030年は18兆775億円と予測する。この数値は2018年に比べて8倍の規模となる。全体市場に占める割合も約37%に達する。
地域別の市場動向を見ると、EUや中国、北米が需要をけん引する。EUや北米では2020年以降もHV/PHV/EV/FCV系の需要が拡大する。中国も環境自動車の普及政策により、HV/PHV/EV/FCV系が大きく伸びる見通し。2019年はマイナス伸長が予想される中国市場だが、2020年以降は再び拡大するとみている。日本も今後は、HV/PHV/EV/FCV系向け需要の伸びが期待されている。
4つの注目市場
こうした中で、富士キメラ総研は4つの注目市場を挙げた。「ADASシステム」「自動運転システム」「電子ミラー」「ドライブレコーダー」である。
ADASシステムの市場規模は、2019年見込み5794億円に対し、2030年は1兆3037億円と予測した。現在はEUや北米が市場をけん引しているが、中長期的には日本や中国でも市場拡大を期待する。車載カメラやミリ波レーダーを搭載した車両の増加により、センシングデバイスは量産効果によるコストダウンが進むとみている。
自動運転システムの市場規模は、2019年見込みの488億円に対し、2030年は2兆2781億円と予測した。一般向け車両では、2020年に「レベル3」対応の車両が量産に入り、2025年頃には「レベル4」対応車両が投入される見通しだ。これにより市場が本格化するとみられている。
電子ミラー(インナーとサイド)の市場規模は、2019年見込みの280億円に対し、2030年は4547億円と予想した。電子インナーミラーは搭載車種が増えており、市場が拡大する。電子サイドミラーの需要は当面、ハイエンドの車種に限定されるが、2020年頃から立ち上がると予測する。インナーミラーもサイドミラーも本格的な普及は2025年以降とみている。
ドライブレコーダー市場は、後付けのアフター市場とOEM/MDP/DOP(純正品)市場に大きく分かれる。需要の大部分はアフター市場で、2019年見込みの7243億円に対し、2030年は1兆4958億円と予測されている。これに対しOEM/MDP/DOP市場は小さく、2019年見込みの382億円に対し、2030年は666億円と予測した。
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