コグニティブ関連技術市場、2025年に1080億円へ:富士キメラ総研が調査
富士キメラ総研は、画像認識や音声・感情・音認識といったコグニティブ関連技術に関する市場調査を行った。2025年の国内市場規模は、2018年に比べ画像認識関連技術が3.1倍に、音声・感情・音認識関連技術が2.5倍に拡大すると予測した。
「音声ソリューション」や「高画素TOFセンサー」などに注目
富士キメラ総研は2020年3月、画像認識や音声・感情・音認識といったコグニティブ関連技術に関する市場調査と分析を行い、その結果を発表した。2025年の国内市場規模は、画像認識関連技術が746億円で2018年に比べ3.1倍に、音声・感情・音認識関連技術は334億円で同2.5倍に拡大すると予測した。
今回の調査は、「コグニティブ関連技術」9品目の他、「視覚・聴覚情報」2品目、「スマート社会関連ソリューション」6品目、「業務関連ソリューション」12品目について国内市場を対象に行った。また世界市場を対象に、「自動車向けソリューション」3品目、「アプリケーション」9品目および、「キーデバイス」10品目についても実施した。調査期間は2019年10月〜2020年1月。
調査結果によると、「顔・表情認識」「静脈認識」「視線認識」「虹彩認識」および、「3D認識」を対象とする画像認識関連技術の国内市場は、2019年に290億円を見込む。顔・表情認識関連は、スマートフォンに顔認証機能が搭載されるなどして市場が膨らむ。車載用途でも拡大する。静脈認識はATMなど金融サービスを中心に普及が進む。この結果、2025年には746億円規模に拡大すると予測した。
「音声認識」「感情認識」「音認識」関連技術の国内市場規模は、2019年見込みの152億円に対し、2025年は334億円と予測した。現在は市場の大半を音声認識が占める。今後は、感情認識や音認識の市場も拡大するとみている。
富士キメラ総研は、これから期待できる注目市場をいくつか挙げた。1つは音声認識である。国内市場は、2019年見込みの146億円に対し、2025年は285億円と予測した。特に期待する用途は、コールセンター向け音声ソリューションである。人材の不足や低い定着率などが、その背景にあるという。
2つ目は自動車向けソリューションである。運転者の状態をカメラでモニタリングするための「インキャビン画像ソリューション」や、車載機器の各種操作や情報検索などを行うための「インキャビン音声ソリューション」を挙げた。両方を合計した世界市場規模は、2019年見込みの381億円に対し、2025年は790億円と予測した。
3つ目はスマート社会関連ソリューションの中で、「決済ソリューション(顔認証サービス)」を挙げた。キャッシュレス決済やATMなどの現金取引において、なりすましを防止するため、生体認証の必要性が高まっているという。国内市場は2019年見込みの19億円に対し、2025年は194億円と予測した。
4つ目は、アプリケーションの中で、娯楽や産業用途で自律制御飛行が可能な無人航空機を対象とする「ドローン」である。単純な機器販売からドローンを活用したサービスソリューションへと事業が広がる。これにより、世界市場は2019年見込みの420万台に対し、2025年は600万台の規模を予測する。
5つ目は、キーデバイスに分類される「高画素TOFセンサー」を挙げた。スマートフォンに内蔵されたカメラの測距精度を向上し、背景ぼかしなどの機能を高めるために搭載される。2020年以降はARや顔認証の用途で需要が広がり、車載用途ではジェスチャーコントロールなどに用いられる可能性が高い。このため、世界市場は2019年見込みの355億円に対し、2025年は3702億円と大幅な伸びを予測する。
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