5G向けに「透明アンテナフィルム」を開発、DNP:設置場所を選ばず十分な性能発揮
大日本印刷(DNP)は、5G(第5世代移動通信)に対応した透明アンテナフィルムを開発したと発表した。2022年度に量産を開始し、2025年度に年間100億円の売り上げを目指すとしている。
大日本印刷(DNP)は2020年3月26日、5G(第5世代移動通信)に対応した透明アンテナフィルムを開発したと発表した。2022年度に量産を開始し、2025年度に年間100億円の売り上げを目指すとしている。
『透明』だから自由度の高いアンテナ設置が実現
5Gの高速大容量のデータ通信にはミリ波帯の電波(波長1〜10mm、周波数30〜300GHz)が用いられるが、従来のマイクロ波と比較しミリ波は近傍製品の影響を受けやすく、アンテナ設置場所の自由度が低いという問題がある。また、ミリ波は電波の直進性が強く、従来以上の通信環境を確保するにはアンテナの設置数を増やすことが求められている。
DNPは今回、こうした課題を解決するため、視認されない超微細金属メッシュ配線を開発、透明アンテナフィルムを実現した。これによって、5G対応のさまざまな製品に意匠性を損なうことのないアンテナ機能搭載が可能となり、モバイル機器だけでなく、基地局やIoT(モノのインターネット)機器などへの自由なアンテナ設置が実現する。
超微細金属メッシュ配線で「見えないけど性能十分」
この透明アンテナフィルムは、透明なフィルム上に、目に見えないほどの金属配線を超微細なメッシュ(網目)状に形成したもの。優れた透明性を特長とし、5G対応アンテナとして室内の壁や天井、大型モニター、窓ガラスなどの建造物、車体のガラスなどに張り付けることで、さまざまな空間で5G電波を受信しやすくすることができるという。
金属材料の選択と形状設計の工夫により、メッシュを視認できない線幅にしても、アンテナに適したシート抵抗(2.5Ω/□)(オームスクエア)を実現、「5G対応製品のアンテナとして十分な性能を発揮する」としている。
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