ディスプレイ表面のぎらつき現象を正しく評価:光学測定原理を解明
大日本印刷(DNP)は、防眩フィルムを貼ったディスプレイ表面のぎらつき現象を、より正確に評価することができる「光学測定原理」を解明した。
測定する装置や条件の違いによるデータの差異をなくす
大日本印刷(DNP)は2020年3月、防眩フィルムを貼ったディスプレイ表面のぎらつき現象を、より正確に評価することができる「光学測定原理」を解明したと発表した。
PCやスマートフォンに搭載されるディスプレイは、表面に防眩フィルムを貼るなどして、外光や照明の反射による映り込みを低減している。ところが、防眩フィルム表面にある凹凸によって、ぎらつき現象が発生していた。
ぎらつきの度合いはこれまで、熟練者が目視で判断していた。装置を用いる測定方法も登場しているが、用いる装置によって測定データが異なるなど、信頼性に課題があった。
そこでDNPは、ぎらつき測定の光学測定原理の研究に取り組んできた。2018年にはぎらつき発生の基本原理を理論的に解析。2019年には異なる測定条件で取得したデータでも、絶対値として定量化や互換性が得られる方法を確立した。
その方法はこうだ。まず、防眩フィルムを貼ったディスプレイの表面をカメラで撮影する。その画像から、ぎらつきの明暗として感じる輝度分布の標準偏差を平均値で取り除いていく。こうした方法により、カメラレンズの絞りから測定面を見込む角度によって、ディスプレイ面上の最小解像領域の大きさが決まり、この大きさがぎらつきに反比例することを明らかにした。
ディスプレイ表面をカメラで撮影する場合には、最小解像領域が同じになるよう、レンズの焦点距離や測定距離を適切に設定する。これによって、測定条件が異なっても、撮像面上でぎらつきの値が一致することを実証した。
また、撮像素子上の最小解像領域は、レンズのF値のみに依存するといわれている。この条件を測定原理に追加したところ、焦点距離が異なるレンズを用いても、測定装置から出力されるぎらつきの値は一致した。
これらの結果から、測定する装置や条件が異なった場合でも、測定値に差異が生じる原因の解析や、取得したデータを正しく比較することができるようになった。
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