新型コロナウイルスとの戦いで活躍する最新技術:「背負うバリア」や国家レベルの色分け追跡システムなど(3/3 ページ)
新型コロナウイルス(COVID-19)が世界中で猛威を振るうなか、中国や米国では治療/診断支援および感染拡大を抑えるためにさまざまな最新技術の導入を進めている。今回、その一例を紹介する。
ウイルスから身を守る、「背負うバリア」も登場
Alibabaはまた、Yitu TechnologyやHuaweiと提携し、医師がCAT(コンピュータ化された軸上断層撮影)スキャンで患者をより迅速に診断できるよう、AIを活用したサービスを提供している。通常、300枚以上の画像を含む1人分のスキャン結果を医師が分析するには、5〜15分かかる。Sina Tech Newsの記事によると、Alibabaは同社のAIアルゴリズムは診断精度96%で、その時間をわずか20秒に短縮することができる、としている。
建築会社のPendaは、スーツの周囲の環境を熱と紫外線で殺菌することで、ウイルスから着用者を守ることができる生物学的なスーツを作成したと主張している。スーツは軽量なカーボンファイバー製のバックパックに詰め込まれた状態で、PVCフィルムを含んでいる。これを必要に応じてシールドのように展開することで、ウイルスに対するバリアとして効果が発揮できるという。シールドにはUVライトが装備されており、表面に接触したあらゆる汚染物質を中和することができるとしている。滑稽に聞こえるかもしれないが、中国のコミュニティーでは、物資不足のために、感染防止を目的に大きな透明なビニール袋やボトルを身に着けている家族がいる。
それでもわれわれは、働き続けなければならない
パンデミックによって、旅行の延期や中止が相次ぎ、地元のガソリンスタンドから証券取引所に至るまで、あらゆる業界で混乱を招いているが、ただ一つ、不変なものもある。
それは『仕事をする』ということだ。
地球上のどこにいても、生活のため働き続けなければならない。今まで以上に多くの企業が、少なくとも1つ以上の業務をリモートで行えるシステムを構築し、社員が自宅で仕事をすることができるようにしている。スプレッドシートの作成から産業用オートメーションまで、全てインターネットを介して行うことは可能だ。
Asana、Slack、Trelloなどのアプリケーションを使えば、社員がどこにいてもチームワークを継続しやすく、クラウドを活用して大量のデータを保存、送信することができる。さらに、テレプレゼンスロボット、Webカメラ、テレビ会議ツールを加えることによって、企業はパンデミックの状況下で想定されるダウンタイムを軽減することができる。結局のところ、従業員や労働者の安全と健康を守ることが最重要であり、大規模な人混みに近づかないようにすることで、感染の可能性を減らすことができるのだ。
今回紹介したのは、コロナウイルスに感染している、または感染の危険性がある患者の監視、診断、治療を支援するために使用されている技術のほんの一例だ。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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