2020年の世界半導体市場、0.9%減のマイナス成長:新型コロナ影響、550億米ドル規模に
米国の市場調査会社Gartnerは2020年4月9日(米国時間)、2020年の世界半導体売上高が前年比0.9%減の4154億米ドルになる、との予測を発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による影響を踏まえたもので、前年比12.5%増とした2019年12月の当初予測からは13.4ポイントの下方修正となった。
米国の市場調査会社Gartnerは2020年4月9日(米国時間)、2020年の世界半導体売上高が前年比0.9%減の4154億米ドルになる、との予測を発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による影響を踏まえたもので、前年比12.5%増とした2019年12月の当初予測からは13.4ポイントの下方修正となった。
感染拡大影響で、大幅な下方修正
Gartnerは、当初(2019年12月公表)、2020年の世界半導体市場が前年比12.5%増の4707億米ドルに成長するとしていたが、2020年2月、COVID-19感染拡大の影響を受け、同9.9%増の4599億米ドルへと予想を下方修正していた。しかしこの下方修正も、同月にAppleが収益予測の下方修正を発表する前の時点のもので、中国湖北省での新型コロナウイルス感染拡大の封じ込めが2020年3月末までに終わるというベストケースで想定した場合の数値だった。
今回の発表は、その後の状況を加味しさらに下方修正した形になっている。2019年12月の当初予測から比較すると13.4ポイントの大幅なマイナスで、金額でみると550億米ドルの下方修正となる。同社のリサーチプラクティスバイスプレジデント、Richard Gordon氏は、「世界的に広がるCOVID-19とそれに伴う政府の強力な封じ込め対策は、当初の予測よりはるかに厳しい影響を半導体需要に与えるだろう」と述べている。
「メモリ市場の成長が激減を阻止する」
一方で、Gordon氏は、「2020年の市場予測はさらに悪くなっていた可能性もあったが、メモリ市場の成長が急減を防ぐだろう」とも語っている。同社によれば、2020年の非メモリ市場の売上高が前年比6.1%減の2906億米ドルとなるのに対し、メモリ市場は同13.9%増の1247億米ドルに成長するという。
メモリでは特に、NAND型フラッシュメモリ市場が、供給不足による価格高騰によって前年比40%増と大きく成長すると予測。Gordon氏は、「NANDフラッシュの供給は、ファブの立ち上げと技術移行の遅延のため2020年は歴史的な低水準となるが、需要は2020年下期には減少する。よってNANDの価格は2020年上期に15.7%増と上昇するものの、下期には9.4%減と下がる。だが平均的な価格水準であれば、2020年もNANDフラッシュは成長を達成できるだろう」と述べている。
また、DRAMについては、2020年上期、クラウドサービスプロバイダーからの強い需要によって、サーバ用DRAMの価格と売上高が増加するとしている。だが、それ以上にスマートフォン市場からの需要の低迷および価格下落の影響が大きくなるため、結果として2020年のDRAM市場は前年比2.4%減となるという。
非メモリ市場についても、スマートフォン、自動車、民生用電子機器の生産が大幅に減少し、全体に大きな影響を受けると予測。一方でハイパースケールデータセンターや通信インフラ分野では、リモートワークやオンラインアクセスの増加をサポートするための投資が継続的に必要となることから、「より回復力があることが証明されるだろう」と説明している。
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