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製造拠点は「多様化すべき」 米MEMSファウンドリーサプライチェーンを見直す

米国オレゴン州メドフォードを拠点とするハイテク企業Rogue Valley Microdevices(以下、Rogue Valley)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診断テストの開発が急がれる中、戦略的役割を果たすバイオメディカル企業で、米国に製造業を呼び戻す議論をけん引する存在でもある。

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 米国オレゴン州メドフォードを拠点とするハイテク企業Rogue Valley Microdevices(以下、Rogue Valley)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診断テストの開発が急がれる中、戦略的役割を果たすバイオメディカル企業で、米国に製造業を呼び戻す議論をけん引する存在でもある。

 Rogue ValleyはフルサービスのMEMSファウンドリーで、LPCVD(Low-Pressure Chemical Vapor Deposition:減圧化学気相成長)窒化物や酸化物、金属、レジストスプレーコートなどのMEMSデバイスの製造とシリコンウエハーサービスを専門とする。同社は、バイオメディカルデバイスの製造にも従事し、COVID-19診断テストの需要の急増に対応するために協力を要請されている。

 企業は何十年にもわたって、人件費の安い地域に生産拠点を移してきた。だが、COVID-19の流行拡大によって、各国政府は今、製造業を新たな観点で捉え、マイクロエレクトロニクスの国内調達の改善に向けた検討をせざるを得ない状況にある。ファウンドリーを国内に設けることを選択した起業家にとって、この認識の変化は待ち望んだものであり朗報でもある。


Rogue Valley MicrodevicesのJessica Gomez氏

 EE Timesは、同社の共同創業者でCEO(最高経営責任者)を務めるJessica Gomez氏に、国内に生産能力を据える理由と、同社のような国内企業をより多く創出するにはどのようなサポートが必要かについて話を聞いた。

 Rogue Valleyが操業を開始した2003年当時、同社は南オレゴン初、かつ唯一のマイクロエレクトロニクス製造施設だった。向こう見ずな試みだという声もあったが、同社の創業者はリスクを計算した上でこの決断をした。その後、同社は当初の3倍以上の規模に成長を遂げた。

 緊急事態に直面する中で、多くのバイオメディカル企業が、本来はガンやその他の疾患に使用していた既存技術を、COIVD-19の感染や抗体反応を検出するために適用している。例えば、メリーランド州を拠点とするHememics Biotechnologiesは最近、米国保健福祉省(U.S. Department of Health and Human Services)から助成金を受け、鼻腔用綿棒や白血球から新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と関連抗体を検出するラテラルフローバイオセンサーの開発を加速している。各バイオセンサーは、17個のセンサーで構成されるセンサーアレイから成り、Cypress Semiconductor製の多層チップと、Rogue Valley製のBluetooth Low Energy(BLE)無線チップとMEMSダイを搭載する。

 Gomez氏は、Hememics Biotechnologiesのツールは「大量の情報を与えるものではないが、YesかNoかという明確な答えを与えるものだ」と述べている。

 世界保健機関(WHO)は、ウイルスのまん延を抑制するためには「とにかく検査を行うこと」の必要性を訴えている。ここでMEMSメーカーが活躍することになる。「開発された技術を使うためには、量産しなければならない」(Gomez氏)

技術を活用するには「製造すること」

 一般的に、欧米では製造インフラが不足している。「FDA(米食品医薬品局)の承認はいくらでも得られるが、製造できなければ何の役にも立たない。われわれは、技術をどう提供できるかを考えなくてはならない」(同氏)

 生産を米国内に回帰させることは何度も話題に上っているが、今回のパンデミックは、その動きを後押しすることになるだろう。サプライチェーンの多くを担っている中国が行き詰まったとき、中国の製造拠点だけに頼っていては、世界の“その他の場所”に部品を供給できなくなるという問題が、あらためて浮き彫りになった。Gomez氏は、脆弱性を最小限に抑えるには、サプライチェーンを多様化することが重要だと主張した。「製造プロセスの一貫性は維持しつつ、今回のようなパンデミックや自然災害が起こった時に、必要に応じて生産能力を分配/シフトできるように、製造拠点を多様化する必要がある」(同氏)

 興味深いのは、現在の状況に対する投資家の解釈や反応だろう。例えば、2000年代初頭には、投資家は通信業界向けの技術を開発している中小企業に対し、多額の投資を行っていたとGomez氏は述べる。そうした企業は研究開発や製造のリソースも持っていたが、経済が崩壊すると、投資家はそれらを“無駄遣い”とし、アウトソースするよう要求したという。その後、幾つかの企業はファウンドリーモデルに移行したが、その他の多くは完全に消えてなくなった。

 では、今後はどうすればよいのだろうか。Gomez氏は「“ハイブリッドモデル”のようなものが出てくるのだろうか。投資家は企業に対し、サプライチェーンを確保できるようなパートナーを見つけろと主張するのだろうか」と疑問を投げかけた。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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