2019年のアナログIC売上高、上位9社が前年比減に:IC Insights
IC Insightsは2020年5月28日(米国時間)、2019年のアナログIC売上高ランキングを発表した。それによると、2019年のアナログICの世界市場は552億米ドルで、そのうち上位10社が62%(342億米ドル)を占めるという。10社のうち9社は、アナログIC売上高が2018年に比べるとマイナスになっている。
IC Insightsは2020年5月28日、2019年のアナログIC売上高ランキングを発表した。それによると、2019年のアナログICの世界市場は552億米ドルで、そのうち上位10社が62%(342億米ドル)を占めるという。10社のうち9社は、アナログIC売上高が2018年に比べるとマイナスになっている。
首位はTexas Instruments(TI)で、2019年のアナログIC売上高は102億2300万米ドル。シェアは19%だった。IC Insightsはプレスリリースで、「2019年におけるTIの売上高は、2018年に比べて約6億米ドル減少したが、それでも10位のルネサス エレクトロニクス(アナログICの売上高:8億6000万米ドル)の10倍以上という結果になった。TIのアナログIC売上高は、同社の全売上高128億米ドルの80%を占めている」と説明している。TIのアナログIC売上高比率をアプリケーション別で見ると、産業機器が全体の36%、スマートフォンを含む民生機器が23%、自動車が21%だった。
2位はADIで、アナログICの売上高は2018年の55億500万米ドルから6%減となる51億6900万米ドル。シェアは10%だった。アプリケーション別では産業機器が全体の50%、通信が21%、自動車が16%で民生機器が13%となっている。
STMicroelectronics(STM)は、2018年から1つ順位を上げて4位となった。同社は、アナログIC分野ではモーター制御、オートメーション、エネルギー管理などに注力している。
STMと入れ替わりで順位を1つ下げ、5位となったのはSkyworks Solutionsだ。同社のパワーアンプモジュールは「iPhone 11 Pro」などに採用されている。同社のアナログIC売上高は、2018年の36億8600万米ドルから13%減となる32億500万米ドルあった。IC Insightsは、減少要因について「一部は米中貿易摩擦によるもの」だと分析している。「Skyworksにとって、中国は2番目に大きな市場だ。スマートフォンを含む機器メーカーなど、同社は中国に多くの顧客を抱えている。2019年のアナログICの売上高は減少したが、Skyworksは5G(第5世代移動通信)スマートフォンやワイヤレスインフラ、ワイヤレスヘッドセットなどのアプリケーションに向けて、新しいアナログICの開発とポートフォリオの拡充を急いでいる」(IC Insight)
7位のMaxim Integrated Products、8位のON Semiconductorも、Skyworks同様にアナログIC売上高が13%減少する結果となった。
上位10社のうち唯一、2018年比でアナログIC売上高が増加したのがMicrochip Technologyだ。売上高は15億3200万米ドルで、2018年に比べて10%増となっている。同社は2018年5月にMicrosemiの買収を完了したが、これがアナログICの売上高増につながったとIC Insightsは述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 2020年1〜3月ウエハー出荷面積は前四半期比微増
SEMIは、2020年第1四半期(1〜3月)における半導体用シリコンウエハーの世界出荷面積を発表した。2019年第4四半期に比べると2.7%増加したが、前年同期比では4.3%の減少となった。 - 2020年の世界IC出荷数「史上初」の2年連続減少へ
米国の市場調査会社IC Insightsは2020年4月21日(米国時間)、2020年の世界IC出荷数が前年比3%減となる、とする予測を発表した。IC出荷数は2019年も減少しており、同社によると、2年連続でIC出荷台数が減少するのは史上初だという。 - iPhone 11 Proを分解、パッと見では分からない劇的変化が潜んでいた
2019年9月20日に発売されたAppleの新型スマートフォン「iPhone 11 Pro」の内部の様子を報告する。一見すると、従来モデルを踏襲した内部設計のようだったが、詳しく見ていくと大きな変化が潜んでいた――。 - アナログやパワーデバイスでも、ファブ活用の価値はある
2019年7月23日付掲載の記事「90nmプロセスの多用途展開を加速するMaxim」は、興味深い内容だった。Maximは大手アナログICメーカーとして著名なIDM(垂直統合型)企業だが、ファウンダリメーカー(以下、ファウンダリ)の活用に関しても積極的だと聞いており、筆者はこの記事を読み「なるほど」と合点がいった。そこで、今回はファウンダリの活用方法について、私見を述べたいと思う。 - 2020年の世界IC市場予測、マイナス成長へ下方修正
米国の市場調査会社IC Insightsは2020年4月9日(米国時間)、2020年の世界IC市場の市場予測を発表。プラス成長を見込んでいた従来予測から一転、前年比4%減のマイナス成長へと下方修正した。 - ロボット向けToFカメラ、距離と画像で高精度に測距
シーアイエスはロボット開発者向けに、ToF(Time of Flight)カメラ「DCC-RGBD1」を提供している。ToFセンサーとカラーカメラを搭載しているので、距離データ、IR画像(近赤外線で撮った映像)、カラー画像を同時に取得でき、55×50×40mmと小型な点が特長だ。