車載用途でToFデバイスの市場が急激に拡大へ:福田昭のデバイス通信(250) 2019年度版実装技術ロードマップ(58)(1/2 ページ)
今回はToF(Time of Flight)デバイスの概要と市場、技術動向を説明する。
光の飛行時間から物体までの距離を測定
電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第58回である。
本シリーズの第31回から、第4章「電子部品」の概要を説明してきた。第4章「電子部品」は、「4.1 LCR部品」「4.2 EMC対策部品」「4.3 センサ」「4.4 コネクタ」「4.5 入出力デバイス」の5つの節に分かれる。
前回からは、「4.5 入出力デバイス」の概要を紹介している。「4.5 入出力デバイス」が取り上げる入出力デバイスは主に3つ。「ToF(Time of Flight)デバイス」と「タッチパネル」「車載用HMI(Human Machine Inteface:ヒューマン・マシン・インタフェース)デバイス」である。今回は「ToF(Time of Flight)デバイス」の概要と市場・技術動向を説明する。
2019年6月4日に東京で開催された「2019年度版 実装技術ロードマップ」完成報告会のプログラム。本シリーズの第31回から、第4章「電子部品」(プログラムの8番)の概要を紹介している。出典:JEITA(クリックで拡大)
「ToF(Time of Flight)デバイス」は「ToFセンサー」とも呼ばれる。光を対象物体に照射して反射光が戻ってくるまでの時間(光の飛行時間)から、対象物体表面までの距離を算出するデバイスである。照射光源には赤外発光ダイオード(LED)あるいは赤外半導体レーザー(VCSEL)、受光素子には赤外線検出器が主に使われる。
光の速度は真空中で30万km/秒と極めて高く、1ナノ秒で30cmほど飛行する。対象物体までの距離を15cmと仮定すると、飛行時間は1ナノ秒と短い。距離分解能を1.5cmと仮定すると時間分解能は0.1ナノ秒となり、飛行時間の差異を直接に測定することはかなり難しい。
そこで実際には光を一定の周期(周波数)で照射し、受光信号を複数回サンプリングして位相差から間接的に距離を算出している。この方法は、対象物体表面の反射率の違いによる誤差や、太陽光などの外光による影響などを取り除けるので、検出精度が向上する。
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