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スマートフォンと車載情報機器の進化を支えるタッチパネル(後編)福田昭のデバイス通信(253) 2019年度版実装技術ロードマップ(61)(3/3 ページ)

今回はタッチパネルの機能、技術動向を解説する。主に、「大型化」「曲面化」「低反射技術」「表面カバーパネル」技術、「メタルメッシュセンサー(金属メッシュ電極)」技術という5つの方向と課題がある。

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タッチパネルとディスプレイを直接貼り合わせて反射率を低減

 最後は「低反射技術」である。フラットパネルディスプレイは、日光が当たったり、強力な光源が映り込んだりすると、極端に見えづらくなる。これを防ぐのが低反射技術であり、古くから反射防止フィルムや偏光フィルムなどが使われてきた。

 最近では、タッチセンサーとディスプレイパネルを貼り合わせるときに生じる空気層(隙間)をなくした「ダイレクトボンディング」技術が開発され、普及してきた。ダイレクトボンディングでは、タッチセンサーパネルとディスプレイパネルの間に、光学透明粘着シート(OCA:Optical Clear Adhesive)あるいは光学透明樹脂(硬化性液状樹脂、OCR(Optical Clear Resin))を挟んで隙間をなくす。空気層とパネルの屈折率の違いによる光の反射がなくなるので、反射率が下がる。


ダイレクトボンディングによる低反射タッチパネルの例。SMKが開発した「CapDuo Touch - Hunt」。静電容量方式タッチパネルと液晶ディスプレイパネルを貼り合わせた。従来に比べて反射率を半分に減らしたという。画面の大きさは6.5型。出典:SMKの2019年9月25日付ニュースリリース(クリックで拡大)

 さらに、昆虫である蛾の眼(モスアイ)が非常に反射率の低い構造であることを模擬した、「モスアイ型反射防止フィルム」が提案されている。光波長よりも短いピッチの突起構造によって屈折率を連続的に変化させ、波長380nm〜780nmの可視領域で反射率を0.5%未満と低く抑えた。


モスアイ型反射防止フィルムの構造例。三菱ケミカルと神奈川技術アカデミーが共同開発して三菱ケミカルが商品化した「モスマイト」。高さ200nmの突起を100nmピッチでならべた。出典:三菱ケミカルの2020年4月13日付ニュースリリース(クリックで拡大)

次回に続く

⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧

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