NVIDIAの時価総額がIntelを上回る:2510億米ドルに達する
NVIDIAの時価総額が、Intelを初めて大きく上回り、2510億米ドルに達した。NVIDIAの株価は記事執筆時点で420米ドル前後の高値をつけ、会計年度の初めから現在まで79%成長している。
NVIDIAの時価総額が、Intelを初めて大きく上回り、2510億米ドルに達した。NVIDIAの株価は記事執筆時点で420米ドル前後の高値をつけ、会計年度の初めから現在まで79%成長している。一方のIntelの株価は同期間で2.4%下落した。NVIDIAの時価総額は、半導体メーカーとしては、TSMCとSamsung Electronicsに次ぐ3位となっている。
NVIDIAは2020年5月に、2021年度第1四半期(2020年4月26日を末日とする)の業績を発表。売上高は30.8億米ドルで、前年同期比で39%増加、前期比では1%の減少だった。
世界中でステイホームが推奨あるいはルールになり、消費者が自宅で過ごす時間が長くなっていることから、ゲーム用ハードウェアの需要が伸びている。
NVIDIAが今回のマイルストーンを達成したのも、2020年秋に発売されるゲーム機に向けたGPU需要の楽観的な見方によるものかもしれない。現在、多くの注目を集めているゲームがNVIDIAのレイトレーシング技術をサポートしている。
NVIDIAのもう1つの主要事業はデータセンターコンピュートだ。CPUをGPUに置き換えて高性能コンピュートやAI(人工知能)ワークロードを高速化することが狙いで、Intelと競合している。NVIDIAの2021年度第1四半期におけるデータセンター事業の売上高は11.4億米ドル。前年同期比で80%増、前四半期比で18%増と大幅に増加した。
NVIDIAは2020年5月、次世代アーキテクチャとなる「Ampere(アンペア)」のハイエンドGPU「NVIDIA A100」を発表した。Ampereは、データセンターでの学習や推論、データ分析、科学的コンピューティング、クラウドグラフィックスなどをターゲットとしたもの。A100は、TSMCの7nmプロセスで製造され、ダイのサイズは826mm2、演算性能は1248TOPS(INT4の場合)を実現している。
一方のIntelは、主要市場でNVIDIAやAMDといった競合の勢いに押されぎみだ。さらに、Appleが2020年6月、「Mac」のプロセッサをIntelから独自のArmベースのチップ(「Apple Silicon」)に移行することを発表したことも打撃だろう。
半導体のトップメーカーであるIntelの時価総額は、これまでにも何度か他社に追い抜かれたことがある。1999年〜2000年の“ドットコムバブル”の時はTexas Instruments(TI)に、2012年と2014年はQualcommが時価総額でIntelを上回った。
【翻訳、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- NVIDIAのMellanox買収、中国の承認取得で完了間近
NVIDIAは、データセンター向けインターコネクト企業であるイスラエルのMellanox Technologies(以下、Mellanox)を69億米ドルで買収する計画に対して、中国当局の承認を得たことを発表した。中国当局の承認の獲得は、この取引における最後のハードルとなっていた。 - NVIDIA、99ドルのAIコンピュータを発表
NVIDIAは、高い演算性能を持ちながら消費電力が小さいCUDA-X AI(人工知能)コンピュータ「Jetson Nano」を発表した。開発者や個人のクリエーターなどに向けた「開発者キット」の価格はわずか99米ドルである。 - NVIDIAが解説するディープラーニングの基礎(前編)
エヌビディアは2018年4月24日、ディープラーニングに関するセミナー「NVIDIA Deep Learning Seminar 2018」を東京都内で開催した。本稿では、セッション「これから始める人のためのディープラーニング基礎講座」から、ディープラーニングの歴史や概要、学習の流れについて紹介する。 - Armサーバ向けのレファレンスデザイン、NVIDIAが発表
NVIDIAは2019年11月18日(米国時間)、GPUアクセラレーションArmベースサーバを構築するためのレファレンスデザインプラットフォームを発表した。「Supercomputing 2019」で発表されたもので、NVIDIAはこの他に2件の発表も行っている。 - プロセッサ市場の下剋上なるか? Intelを追うAMDを躍進させた2人の立役者
プロセッサ市場では、ある異変が起きている。Intelが長年トップに君臨しているこの市場で、AMDがシェアを急速に拡大しているのだ。今回は、AMDの躍進の背景にいる2人の立役者に焦点を当てよう。