HDD大手Seagateの四半期業績は前期比で減収減益に:福田昭のストレージ通信(167)(2/2 ページ)
今回は、ハードディスク装置(HDD)の大手ベンダーである米Seagate Technologyが発表した2020会計年度第4四半期(2020年4月〜6月期)の業績を紹介する。
ニアラインHDDの総出荷記憶容量は過去最大を更新
Seagateは、HDDの総出荷記憶容量と1台当たりの記憶容量(平均記憶容量)を製品分野別に公表してきた。製品分野は「大容量品(マスキャパシティ品)」と「既存品(レガシー品)」に分けている。マスキャパシティ品には、ニアラインHDD、画像データ格納用HDD、NAS(Network Attached Storage)などが含まれる。レガシー品にはミッションクリチカルHDD、デスクトップPC用HDD、ノートPC用HDD、デジタルビデオ録画用HDD、ゲームコンソール用HDDなどが含まれる。
応用分野別HDD製品の総出荷記憶容量と1台当たりの平均記憶容量、売り上げ比率の推移(2019会計年度第4四半期〜2020会計年度第4四半期)。出典:Seagate Technology(クリックで拡大)
マスキャパシティ品は総出荷記憶容量と平均記憶容量のいずれも非常に大きい。2020会計年度第4四半期(2020年4月〜6月期)の総出荷記憶容量は90.5EB(エクサバイト)である。前の四半期に比べると0.66%減とほぼ横ばいだった。マスキャパシティ品の平均記憶容量は9.2TB(テラバイト)である。前の四半期に比べて1.0TB増加した。
マスキャパシティ品の大半を占めるのはニアラインHDDである。ニアラインHDDの総出荷記憶容量は79.5EBで前の四半期に比べて4.1%増加した。マスキャパシティ品全体に占める比率は87.8%である。前の四半期に比べて3.9ポイント上昇した。
レガシー品の総出荷記憶容量は2020会計年度第4四半期(2020年4月〜6月期)に26.4EBだった。前の四半期に比べて9.3%減少した。平均記憶容量は1.6TBで、前の四半期と同じである。
HDD全体の総出荷記憶容量は117.0EBである。前の四半期に比べると2.7%減少した。HDD全体の平均記憶容量は4.5TBである。前の四半期に比べて0.4TB増えており、5四半期連続で過去最大を更新した。
Seagate全体の売上高に占めるマスキャパシティHDDの割合は58%で、前の四半期に比べて1ポイント上昇した。レガシーHDDの割合は34%で、前の四半期に比べて2ポイント下降した。前年同期にはマスキャパシティHDDの割合が46%、レガシーHDDの割合が47%と拮抗していたので、1年間でマスキャパシティHDDの比重が大きく上昇したことが分かる。
(次回に続く)
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