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擬二次元ペロブスカイトレーザー、室温でCW発振空気中で高い安定性を確認

九州大学は、擬二次元ペロブスカイトレーザーにおいて、室温空気中で安定したCW(連続波)レーザーの発振に成功した。

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将来は電気的励起によるペロブスカイトレーザーに展開

 九州大学は2020年9月、擬二次元ペロブスカイトレーザーにおいて、室温空気中で安定したCW(連続波)レーザーの発振に成功したと発表した。

 レーザーは、「利得媒体」や「励起光源」「光共振器」で構成される。この中の利得媒体は、誘導放出によって光を増幅するための重要な材料となる。特に、有機分子と無機分子の優れた機能を融合させたペロブスカイト材料は、次世代レーザーの利得媒体として期待されている。波長選択性や安定性に優れ、溶液塗布法によるコストダウンも可能になるためだ。

 今回の実験に用いた擬二次元ペロブスカイト構造のレーザーは、三重項エネルギー状態が低い有機配位子を構造内に組み込んでいる。寿命が長い三重項励起状態をハロゲン化鉛の無機層から有機層にエネルギー移動させることで、パルスおよびCW光励起レーザーの発振に成功した。

 研究チームは、配位子としてPEA(フェニルエチルアンモニウム)やNMA(ナフチルメチルアンモニウム)を含むペロブスカイト構造(P2F8、N2F8)における、三重項エネルギーの移動について、そのメカニズムを調べた。この結果、N2F8では容易に三重項エネルギーがNMAに移動し、三重項励起子を効果的に無機層から除去することができたため、CW発振が可能となった。これに対しP2F8では、PEAの三重項エネルギーが高く、無機層からPEAへのエネルギー移動は困難であることが分かった。


擬二次元ペロブスカイト構造の概念図と三重項エネルギー移動の様子 出典:九州大学
左はレーザー発振時のレーザービーム、右はFFP(Far Field Pattern)放射パターン 出典:九州大学

 CWレーザーの発振強度は、相対湿度55%の空気中で1時間経過した後も劣化せず、高い安定性を実現していることを確認した。今後は、電気的励起によるペロブスカイトレーザーの開発に取り組む。

 なお、今回の研究成果は九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センターの安達千波矢センター長と九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所の松島敏則准教授および、中国Changchun Institute of Applied ChemistryのQin Chuanjiang(シン センコウ)教授らによるものである。

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