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Piezo Studio、消費電力が小さい発振回路を開発:新材料の振動子採用で約1/10に
Piezo Studioは、高エネルギー加速器研究機構(KEK)素粒子原子核研究所の宮原正也准教授らとの共同研究により、消費電力を従来の約10分の1に抑えた発振回路を開発した。
電池の使用可能な時間が、最大で約5倍も伸びる
Piezo Studioは2020年9月、高エネルギー加速器研究機構(KEK)素粒子原子核研究所の宮原正也准教授らとの共同研究により、消費電力を従来の約10分の1に抑えた発振回路を開発したと発表した。
新たに開発した発振回路は、基準クロック生成用ICと新材料の圧電単結晶「CTGS」(Ca3TaGa3Si2O14)による振動子を採用した。これにより、従来の水晶発振回路に比べて位相雑音が低く、消費電力も極めて小さい発振器の開発に成功した。
この発振回路を用いると、電池の使用可能な時間を従来に比べ最大で約5倍伸ばすことができるという。このため、モバイルIoT(モノのインターネット)機器における電池交換の頻度や充電回数を大幅に低減することが可能となる。
なお、今回の研究成果は、米国電気電子学会IEEEが発行する半導体集積回路分野の学術論文誌「Journal of Solid-State Circuits,Letters」に掲載された。論文タイトルは「Ultralow-Power Class-C Complementary Colpitts Crystal Oscillator」である。
Piezo Studioは、東北大学発ベンチャーとして2014年12月に設立された。東北大学金属材料研究所が開発した、新しい圧電単結晶技術を用いたタイミングデバイスを主体に、電子部品の設計、開発、販売を行っている。
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