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京セラ、位相ノイズが極めて小さいTCXOを開発:5Gなどにおける通信品質を向上
京セラは、位相ノイズが極めて小さい小型温度補償型水晶発振器(TCXO)を開発した。スマートフォンやネットワーク機器などの用途に向ける。
材料技術、加工技術、回路技術の組み合わせで実現
京セラは2019年11月、位相ノイズが極めて小さい小型温度補償型水晶発振器(TCXO)2シリーズを開発したと発表した。スマートフォンやネットワーク機器などの用途に向ける。2020年3月より量産を始める予定だ。
5G(第5世代移動通信)やIEEE 802.11axなど、最新の無線通信システムでは、高速化やデータの大容量化に対応するため、多値変調方式が用いられている。この方式はわずかなノイズや揺らぎによって、データエラーが発生する可能性があるという。このため、特性劣化が少なく、出力周波数が安定している小型TCXOのニーズが高まっている。
新製品は、オフセット周波数100kHzにおける位相ノイズが−168dBc/Hzと極めて小さい。位相ジッタもオフセット周波数12kHz〜5MHzにおいて68fsを達成しており、通信の品質向上を可能とした。出力周波数範囲は26M〜52MHz、周波数温度特性は±0.5×10-6である。
これらの特性は、Q値が高い「人工水晶」の採用と、プラズマCVDを用いた高精度加工技術により最適化された「水晶振動子」および、ノイズを抑制した「発振回路」の組み合わせにより実現したという。
新製品は形状によって2シリーズを用意した。「KT1612シリーズ」は外形寸法が1.65×1.25×0.55mmと小さい。「KT2016シリーズ」は2.0×1.6×0.8mmである。動作温度範囲はいずれも−30〜85℃となっている。
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