米政府がSMICへの輸出を制限か:ロイターが報道
ロイター通信などの報道によると、米国政府は中国のファウンドリーであるSMIC(Semiconductor Manufacturing International Corp.)に対し、同社に供給された機器が軍事目的で使用される危険性があるとの結論に達したとして、輸出を制限したという。
ロイター通信などの報道によると、米国政府は中国のファウンドリーであるSMIC(Semiconductor Manufacturing International Corp.)に対し、同社に供給された機器が軍事目的で使用される危険性があるとの結論に達したとして、輸出を制限したという。
ロイター通信が入手したという米商務省の書簡によれば、SMICに生産設備を提供するサプライヤーの一部は、個別に輸出許可を申請する必要があるとする。なお、商務省は2020年9月29日(日本時間)現在、SMICに関する公式発表は出していない。
一方のSMICも、米政府から輸出制限の通知を受けていないと述べた。SMICが出した声明では、同社は製造した半導体を、民生用および商業用に限定して提供していると述べている。SMICは中国軍との関係はなく、軍事用途あるいは軍事用のエンドユーザー向けには製造していないと公表した。
SMICに対する輸出規制は、中国とのハイテク戦争において、米国政府による最新の動きとなるだろう。トランプ政権は、特に5G(第5世代移動通信)分野での中国の勢いを封じるべく、Huaweiに対する輸出規制を行っている。
半導体IC産業は、中国が世界的に大きな足掛かりを得ていない、数少ない技術産業分野の一つだ。過去10年にわたり、中国は数千億米ドルに相当する資金を投入して国内の半導体産業を強化してきた。それでもなお、中国のチップ市場の80%は輸入に頼っている。
中国最大のファウンドリーであるSMICは、TSMCやSamsung Electronicsといった他のファウンドリーと競合している。とはいえ、SMICは14nmプロセスノードを立ち上げたばかりであり、TSMCやSamsungには数年のレベルで後れを取っている。
【翻訳、編集:EE Times Japan】
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