封止材料に対する要求項目のランキング:福田昭のデバイス通信(276) 2019年度版実装技術ロードマップ(84)(2/2 ページ)
今回は「封止材料」に対するユーザーの要望を調査した結果を紹介する。
低コスト化、熱膨張差の吸収、使用期限の延長に強い要求
第5項「封止材料」では、第6章第3節の「実装設備に対する要求経過と今後の動向」と同様に、JEITAがユーザーから封止材料への要求項目をアンケート調査した結果を報告している。回答者総数は204件である。
重要度のトップは、「低コスト化」である。前回版(2017年度版 実装技術ロードマップ)および前々回版(2015年度版 実装技術ロードマップ)に続いてトップを堅持しており、なおかつ第2位との点数差が10%以上と大きい。
封止材料のコストは、部品コストや基板コストなどと同様に製品のコストに加算される。材料コストだけでなく、封止材の塗布と硬化の工程(装置コストや処理時間など)もコスト要因となるので、封止材料のコストは強く意識されることになる。
第2位は「チップと基板の熱膨張差を吸収するアンダーフィル(大型チップ対応)」である。前回版の第4位から上昇した。加熱によって反りやすい、あるいは剥がれやすい基板や部品などが増加傾向にあることを反映していると思われる。
大型チップへの対応として熱膨張係数の低減およびガラス転移温度の高温化が進められてきた。また硬化温度を一般的な150℃から80℃に下げて基板の反りを抑制した低温硬化型のアンダーフィル材料が商品化されている。
重要度の第3位は「使用期限の長い封止材料」である。前回版も第3位だった。生産ラインで機種切り替えの間も封止材料を保冷庫に戻さずに、実装設備にセットしたまま安定に使える材料が求められている。
このほか、第4位は「ボイドレスアンダーフィル」、第5位は「室温保存」、第6位は「狭ギャップ対応アンダーフィル」と「リペアラブルアンダーフィル」、第8位は「フラックス機能のあるアンダーフィル」、第9位は「低応力(ゴム系)封止材」、第10位は「低温(室温)高速硬化材料(25℃で10分以内、二液を注入して混合)」、第11位は「耐油性向上封止材」となっている。
なお第5位の「室温保存」は、前回版の第2位から下降した。熱硬化性封止材料は室温保存性を優先させると硬化時間が長くなる傾向がある。保存は冷蔵で良いので、生産ラインでの硬化時間を短くすることを望む傾向が見て取れる。
(次回に続く)
⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 接合材料に対する要求項目のランキング
ロードマップ第6章「実装設備」の第4節「実装技術動向」を説明するシリーズ。今回は、「接合材料」に対するユーザーの要望を調査した結果を紹介する。 - 実装設備が対応すべきプリント配線板と部品供給方式のロードマップ
引き続き、「実装技術動向」を紹介する。今回は、実装設備が対応すべき、プリント配線板と部品供給方式のロードマップについて解説する。 - ベアチップ/フリップチップを高い精度で装着
実装設備に要求する項目のアンケート結果を紹介するシリーズ。今回は「ベアチップ/フリップチップボンダ」に対する要求を説明する。 - 重要さを増す検査機からのフィードバック
引き続き、実装設備に要求する項目のアンケート結果を紹介する。今回は、「検査機」に対する要求と対策を取り上げる。 - 高速・高精度・低コストの実装工程を支える設備と材料
第6章「実装設備」の概要を説明する。まずは表面実装の設備と材料を取り上げる。 - HDD大手SeagateとWDの2020会計年度業績、売り上げはいずれも約1%増に
今回は、Seagate TechnologyとWestern Digital(WD)の2020会計年度の業績を紹介しよう。