視野角度可変ターゲットシミュレーターを発売:ミリ波レーダー搭載機器の機能評価
東陽テクニカは、ミリ波レーダーセンサーを用いたADAS機能を試験できる、UniqueSec AB製の視野角度可変ターゲットシミュレーター「ASGARD2」を発売する。
衝突の直前を再現するシナリオを実行可能
東陽テクニカは2020年10月、ミリ波レーダーセンサーを用いたADAS機能を試験できる、UniqueSec AB製の視野角度可変ターゲットシミュレーター「ASGARD2」を発売する。
ASGARDシリーズは、車両に搭載されたミリ波レーダーセンサーが検知するターゲットについて、ミリ波レーダーセンサーの視野角度(電波を受信する向き)を変化させながらシミュレーションする装置である。
この装置は、周波数の変化を利用して数学的処理を行い、レーダーの反射信号成分の変化を計算する独自の技術を用いている。これによって、測定対象となるミリ波レーダーセンサーとターゲットとの距離をほぼ0mまで近づけることができる。つまり、衝突の直前を再現するシナリオを実行し、AEB(自動緊急ブレーキ)機能を評価することが可能となる。
これに対し従来は、ターゲットシミュレーターの信号処理で遅延が生じるなど機器性能が十分ではなく、車両からターゲットまでの距離として、数mは少なくとも必要であった。このため、衝突直前の試験までは行えなかったという。
ASGARD2では、MIMO技術を用いて新たな機能も追加した。接続した試験用アンテナを動かさずに、接近する複数のターゲットについて、その到来角度を同時にシミュレーションする機能を搭載した。この機能によって、前方車両の割り込みや側方からの飛び出しなど複雑なシナリオの試験も、従来のフィールド試験などに比べ容易に行うことができるようになった。
小型のASGARD2と交通状況をシミュレーションするソフトウェアを組み合わせ、試験対象のミリ波レーダーセンサーを用意すれば、車両の衝突防止機能やその他のADAS機能に関する評価を、室内に構築したシミュレーション環境で行うことが可能となる。
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