村田製作所が通期見通しを上方修正、巣ごもり需要などで:Huawei規制、「他セットメーカー需要がカバー」(2/2 ページ)
村田製作所は2020年10月30日、2021年3月期(2020年度)第2四半期の決算説明会を実施。2020年度通期業績見通しを上方修正したと発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大からの部品需要の回復が想定より早まったことやリモートワークなどによるPC関連の”巣ごもり需要”などが要因という。
第1四半期からは大幅に増収増益
業績を第2四半期単体(2020年7〜9月)でみると、売上高は第1四半期と比べ30.1%増の4252億円、営業利益も56.2%増の802億円、純利益も52.3%増の603億円と大幅に増収増益となっている。
こうした状況から、同社は、上記のように通期見通しを上方修正した。同社は、COVID-19からの市況回復がスマホ、車載市場で早まったことや、PC関連需要が拡大したことにより、モジュールやコンデンサーなどの売り上げ増加が見込まれる、と説明している。ただ、下期については、引き続きスマホや車載向け部品需要増が見込まれるものの、上期の旺盛な需要の反動減および、下期後半にかけPC向け需要が一巡すると想定されることから上期比では減収を予想しているという。
同社は当初、2020年のスマホ市場(出荷台数)を前年比10%減になるとみていたが、同7%減の12億8000万台程度と見直したという。このうち5Gスマホ出荷台数についても当初の2億4000万台という予想から、3億台程度に見直している。自動車市場についても、出荷台数が同20%減にまで減少するとみていたが、現時点では同15%減の7100万台程度という見方に変わった。
なお、米国のHuaweiに対する輸出規制に関しては、同社会長の村田恒夫氏は、「数字については開示できないが、スマホ関連では他のセットメーカーの需要がカバーしており、あまり大きな影響はでていない」と説明している。
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