FPGAに実装可能なエッジAI用ハードIP、45fpsで推論:日本発の新興企業
エッジデバイス用の推論プロセッサ開発を手掛けるEdgecortix(エッジコーテックス)は、「第1回 AI・人工知能 EXPO【秋】」(2020年10月28〜30日、幕張メッセ)で、同社の技術を実装して行うエッジAI(ここでは推論)のデモを展示した。
エッジデバイス用の推論プロセッサ開発を手掛けるEdgecortix(エッジコーテックス)は、「第1回 AI・人工知能 EXPO【秋】」(2020年10月28〜30日、幕張メッセ)で、同社の技術を実装して行うエッジAI(ここでは推論)のデモを展示した。
東京都品川区とシンガポールに拠点を持つEdgecortixは、2019年9月に設立されたばかりの新興企業だ。エッジデバイス用推論プロセッサ向けにハードウェアIP(Intellectual Property)およびソフトウェアを提供する企業で、技術開発は日本で行っている。主なターゲット市場は自動運転(自動運転およびADAS[先進運転支援システム])、ロボット、スマートシティー、ドローン、インダストリー4.0などで、5〜10Wレベルの低消費電力のアプリケーションに向ける。
Edgecortixの担当者は「当社のハードウェアIPはXilinxのFPGAに実装できる。PytorchやTensorFlowをネイティブサポートしていて、これらのソフトウェアフレームワークとシームレスに統合できる。特殊な学習も不要で、使いやすいというのが最大の特長だ」と説明する。ピーク時の演算性能は最高で52TOPS。1ワット当たりの性能は5TOPS以上だという。
会場でのデモは、1)カメラで物体を認識し、カメラとその物体の距離を測定するものと、2)走行中に前方の自動車をリアルタイムで認識するものの2つを披露した。
1)では、EdgecortixのハードIPを実装したXilinxのアクセラレーターカード「Alveo U50」を使用。写真のモニター上部に設置したカメラで物体(人物や柱など)を検出し、カメラとの距離を測定して色分けして表示した(カメラとの距離が近いものほど暖色系の色になる)。
カメラを使った物体検出および測距のデモ。ResNet-50を使用し、INT8の精度で推論を行っている。「モデル自体が重いにもかかわらず、13fps(フレーム/秒)前後の推論速度を実現している」(Edgecortix) (クリックで拡大)
2)のデモでは、自動車が走行する動画を流し、その動画の自動車をリアルタイムで検出していた。ここではXilinxの「Zynq UltraScale+ MPSoC ZCU104」にIPを実装。45fps前後の推論速度を達成していた。
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