「ISSCC 2021」はオンライン化、日本は論文採択率が高い:プログラムは変えず(2/2 ページ)
ISSCC ITPC Far East Regional Subcommitteeは2020年11月17日、オンライン記者説明会を開催し、2021年2月に開催される「ISSCC 2021」の概要と注目論文を紹介した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、第68回となるISSCC 2021はオンラインで開催される。
論文採択率が高い日本
ISSCC 2021 FE(Far East) Secretaryを務める出口淳氏は、投稿論文数および採択論文数について発表した。今回の投稿件数は580件で、前回に比べて7.8%減少した。採択率は約3分の1で例年通り。
分野別の投稿論文数は、ワイヤレスと機械学習で増加した。地域別ではアジアが減少し、北米が増加した。投稿数を国別で見ると、米国がトップで174件、次いで韓国が100件、中国が84件と続く。日本は7位で21件だが、採択率は57%と高かった。ちなみに他の国の採択率は韓国が30%、中国が23%、台湾が26%といった具合で、日本が突出して高いことが分かる。「日本からは、投稿数こそ少ないものの、いい論文が出されているということ」と出口氏は説明する。
出口氏は、アジア地域の論文の特長として、メモリとイメージセンサーが強いことを挙げた。アジアからの論文が75%以上を占めるセッションは5分野あり、いずれもセンサーもしくはメモリ関連だ。
日本の採択論文数は12件。「イメージャ/MEMS/医療/ディスプレイ(IMMD)」分野では、ソニーセミコンダクタソリューションズの論文が3件とニコンの論文が1件、発表される。
なお、COVID-19の影響について池田氏は、「チップのテープアウトに関してはほとんど影響はないといわれている。一方でチップの評価については、6月から8月のコロナの状況が厳しかったため、評価が間に合わなかったという事例が多々あったと聞いている。特に米国の大学はその影響を受けたといわれている。企業については、ロックダウンや外出自粛などの制限がある中で、ビジネスをどう維持するかが最優先になっていたため、研究開発の論文準備にリソースをさくことが難しくなっていたという背景があるようだ」と説明した。「ただ、全体的に見れば、ISSCCの投稿論文数は約600件で推移しており、過去10年間と比較してもそれほど大幅に減少しているわけではない」(池田氏)
各分野の注目論文については、別途紹介する。
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