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広角の低反射特性と防雲効果を併せ持つナノ構造体無機材料の柱状構造体を内部に形成

産業技術総合研究所(産総研)と東亜電気工業は、入射角60度と広範囲で世界最高レベルの低反射特性を実現しながら、高い防雲機能も併せ持つ「ナノ構造体」を開発した。大面積で曲面の車載パネルや小型超広角レンズなどへの応用に期待する。

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入射角60度で、従来比7分の1に反射を低減

 産業技術総合研究所(産総研)製造技術研究部門表面機能デザイン研究グループの栗原一真研究グループ長と東亜電気工業は2020年11月、入射角60度と広範囲で世界最高レベルの低反射特性を実現しながら、高い防雲機能も併せ持つ「ナノ構造体」を開発したと発表した。大面積で曲面の車載パネルや小型超広角レンズなどへの応用に期待する。

 自動車や家電製品にはさまざまなディスプレイパネルが用いられ、これらの中には高い視認性が必要となる用途もある。これを実現する反射防止技術の1つとして「モスアイ構造体」が注目され、既に液晶テレビなどで実用化されている。

 今回開発したのは、モスアイ構造体と同等かそれ以上の機能を実現したナノ構造体とその内部に柱状の構造体を形成するための技術である。具体的には、射出成形によって反射防止ナノ構造体を作製。そして、新たに開発した自己形成柱状成膜技術を用いて、ナノ構造体内部に柱状の構造体を形成する。


広い角度範囲で低反射特性を備えたディスプレイパネル 出典:産総研

 自己形成柱状成膜技術とは、真空蒸着法による無機材料の成膜時に、無機粒子の平均自由行程を従来の10分の1以下に制御。これによって無機粒子同士の衝突頻度を高め、ナノ構造体内部に、無機材料の柱状構造を自己形成させる技術である。一般的な成膜だと、反射防止ナノ構造体表面に平たんな無機材料の薄膜が形成されるだけである。


反射防止ナノ構造体表面に対する一般的な成膜技術(左)と自己形成柱状成膜技術(右)の概要 出典:産総研

 今回用いた反射防止ナノ構造体は、ランダム周期の凹構造となっており、市販のモスアイフィルムとは構造が異なるが、低反射特性は同等である。視感反射率が1%以下となる範囲は、入射角約40度までとなっていた。

 これに対して、自己形成柱状成膜技術を用いた反射防止ナノ構造体は、入射角60度まで優れた低反射特性を示すことが分かった。従来のモスアイ構造体に比べ、入射角60度のときに7分の1の反射低減効果があることを確認した。


入射角による反射防止光学特性 出典:産総研

 開発した反射防止ナノ構造体は、ナノ構造体内部に親水性無機材料の柱状構造が形成される。このため、超親水状態(水接触角は10度以下)が長い期間維持できるなど、高い防曇機能を備えていることも分かった。


反射防止ナノ構造体の防曇評価(左)と水の接触角の経時評価(右) 出典:産総研

 なお、東亜電気工業は産総研より大面積ナノ凹凸金型技術のライセンス供与を受け、約50cm角までの大面積3次元ナノ構造金型が量産できる製造ラインの操業を開始した。また、産総研が、低コストで簡便に作製できる反射防止機能付レンズの生産技術を共同開発してきた伊藤光学工業グループとも協力し、今回開発した技術の早期事業化に取り組む計画である。

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