安価なToFセンサーやBLEで新型コロナ対策を実現、ST:「数千円」で2D LiDAR構築も(2/2 ページ)
STマイクロエレクトロニクスは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として求められる"密"回避を、安価なToFセンサーによって実現するソリューションなどを紹介している。
安価&迅速なソーシャルディスタンスソリューション開発を実現
COVID-19対策の実現に関しては、STの超低消費電力BLE SoC(System on Chip)「BlueNRG-2」を搭載した開発ボード「BlueNRG-Tile」によるソーシャルディスタンス確保ソリューションも提供している。
BlueNRG-2は、Arm Cortex-M0プロセッサと256KバイトのFlashメモリ、24KバイトのSRAMを搭載したBluetooth 5.2準拠のSoC。BlueNRG-Tileは、BlueNRG-2のほか、6軸モーションセンサー(3軸加速度センサーと3軸ジャイロセンサー)「LSM6DSO」やMEMSマイク、気圧センサー、温湿度センサー、地磁気センサー、ToFセンサーなどを搭載した直径2.5cmのコインサイズの開発ボードだ。
ソリューションの仕組みとしては、BLEビーコンのRSSI(受信信号強度)による位置測位で、近くのビーコンからの信号強度を測定してリアルタイムで測距、1.5mや2mなど設定した距離に応じてLED点灯などの動作をするというもの。
RSSIの強度はデバイスの傾きなどといった環境によって変化してしまうため精度について課題があるが、LSM6DSOによって同時に電波強度補正を行うことで測距精度を向上、「2〜3m程度の範囲のソーシャルディスタンス確保用途としては十分な精度を発揮する」としている。
スマホなどを介すことのないデバイス同士の通信によるシステムが構築でき、接触履歴の記録も匿名のIDで管理可能なことから、個人情報に関する懸念も不要となる。また、同社のサブギガ帯RFトランシーバーICと組み合わせることでSigfoxによるクラウド連携も可能だ。説明担当者は、「こうしたアプリケーションを迅速に開発し市場投入したいという顧客に適している」と語っていた。
既に複数の企業がBlueNRG-Tileを活用したソリューションを提供しており、日本でも電機メーカーからの引き合いがあるという。同社は今回、フランスInocessによる製品「Nextent TAG」などを紹介していた。
Nextent TAGでは、周囲に別のデバイスがない通常時はLEDが青色に点灯してるが、別のデバイスと距離が近づくのを確認するとLEDがオレンジ色に変化するとともに振動で「事前警告状態」であることをユーザーに通知、さらに距離が近づくとLEDが赤色に変化するとともにブザーで「警告状態」であることを通知するという仕組みだ。
STは、このソーシャルディスタンスソリューションのソフトウェア開発キットを提供中だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「スマホの多眼化」がコロナ禍を吸収?イメージセンサー市場の未来は
拡大を続けるイメージセンサー市場の今後の展望やそして新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響について、市場調査会社OMDIAのシニアプリンシパルアナリスト、李根秀氏に話を聞いた。 - ロボット向けToFカメラ、距離と画像で高精度に測距
シーアイエスはロボット開発者向けに、ToF(Time of Flight)カメラ「DCC-RGBD1」を提供している。ToFセンサーとカラーカメラを搭載しているので、距離データ、IR画像(近赤外線で撮った映像)、カラー画像を同時に取得でき、55×50×40mmと小型な点が特長だ。 - Withコロナ時代にエンジニアたちが期待する技術とは
EE Times Japan、EDN Japan、MONOistの3媒体は、第3回の「新型コロナウイルス感染症のモノづくりへの影響に関するアンケート調査」を実施した。今回のアンケートでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大からおよそ半年が経過した現在、企業がとっている対策や、期待が高まる技術が明らかになった。 - LoRaとBLE、2つのアンテナを集積した超小型チップ
無線通信モジュールやSiP(System in Package)の開発を手掛けるInsight SiPは2018年11月、3つの新製品を発表した。このうち「ISP170801」は、LoRaWAN用とBLE(Bluetooth Low Energy)用の2つのアンテナを集積した小型チップだ。 - コイン電池1個で10年動作、Bluetooth 5.2対応モジュール
米Silicon Laboratories(Silicon Labs)は2020年9月9日(米国時間)、Bluetooth 5.2に対応する無線通信モジュール「BGM220S」「BGM220P」を発表した。 - 高速、低コストな新型コロナ検査を実現するセンサー技術
amsは2020年8月27日、オンラインで記者説明会を実施。同社のスペクトルセンサー技術を用い、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査を高速かつ低コストにするソリューションについて説明した。