64個のCISを同時測定、アドバンテストの最新テスト装置:SEMICON Japan 2020 Virtual(2/2 ページ)
アドバンテストは、「SEMICON Japan 2020 Virtual」(2020年12月11〜18日、オンライン開催)で、同社の最新のシステムやサービスを紹介した。
64個のCISを同時に測定できるテストモジュール
SoC(System on Chip)向けテストシステム「T2000」の新しいテストモジュールとして、CMOSイメージセンサー(CIS)のテストに向けた「4.8GICAP(4.8ギガアイキャップ)」も紹介した。2020年12月9日に発表したモジュールだ。アドバンテスト T2000 Business Unit ADT Development Managerを務める原幸司氏は、「テストコストを非常に低く抑えられるモジュールとなっている」と述べる。
T2000は、テストモジュールを入れ替えることでさまざまなデバイスをテストできるプラットフォームだが、4.8GICAPを追加することで、CISの測定ができるようになる。モジュール1枚で4個のCISを測定できる。T2000には、最大16枚のモジュールを挿入できるので、システムとしては最大64個(4×16)のCISを同時に測定することが可能だ。そのため、テストコストを抑えられる。
4.8GICAPは、最高4.8GbpsでCISからの信号をキャプチャーする。さらに、キャプチャーした大量のデータの演算処理を行う新しいエンジン「IP Engine3」を搭載している。「従来の『IP Engine2』と比較して、より多くのデバイスを、より短時間でテストできる」(原氏)
4.8GICAPは、MIPI C-PHY Version 1.2(データ転送速度3.5Gsps[Giga symbols per second])と、MIPI D-PHY Version 2.1(同4.8Gbps)の両方に対応している。キャプチャーメモリは、1024Mピクセルを2バンク備えているので、画像のキャプチャーとIP Engine3へのデータ転送を同時に行える。これによりテスト時間を短縮できる。さらに、MIPI C-PHYおよびD-PHYのチャンネルそれぞれが、電流と電圧の測定機能を備えているので、電流試験/電圧試験を並列して行うことが可能だ。
テスターのデータをクラウドで統合、解析
クラウドベースのソフトウェアソリューション「Advantest Cloud Solutions(以下、ACS)」も紹介した。ACSは、2020年7月に業務提携を発表したPDF Solutionsと共同開発したもの。PDF Solutionsの半導体IC向けビッグデータ解析プラットフォーム「Exensio(エクセンシオ)」をベースにしている。半導体の前工程から後工程まで、製造プロセスの各工程における測定データやテスト/評価データをクラウドで統合、解析し、一元的に閲覧、管理ができるようにすることを狙う。
設計と製造で水平分業がかなり進んでいる半導体業界では、各工程におけるデータが共有されず、分断されたままであることが多い。アドバンテストで、Applied Research and Venture Team内SBR Groupのサブリーダーを務める木村学氏は、「サプライチェーンの各ポイントから見ても、お互いのデータが分からない、ということが多々ある」と説明する。ACSによって、各装置からのデータを収集して解析し、一元的に管理できるようになれば、顧客の歩留まり改善や生産設備の稼働効率向上につなげられる。
なお、ACSの利用は、「基本的にはサブスクリプションモデルとなる予定」(木村氏)としている。
ACSでは、データ解析用のソリューションを統合していく。木村氏は「アドバンテストが開発したものだけでなく、顧客が開発したソリューションを統合するケースもある」と説明する。
ACSの解析ソリューションとして、2020年12月10日に「V93000 Dynamic Parametric Test system powered by PDF Exensio」と「高性能エッジ・コンピューティング(HPC)」を発表した。V93000 Dynamic Parametric Test system powered by PDF Exensioは、DCパラメトリックテスター「V93000 SMU8」向けの解析/制御ソリューション。テスト結果を基に、テストフローをオンザフライで自動的に最適化する。高性能エッジ・コンピューティング(HPC)では、エッジコンピューティングを活用し、大量のテストデータをミリ秒単位のレイテンシ(遅延)で処理する。半導体テストへの機械学習の導入をサポートする。ユーザーは、さまざまなデータをクラウドから追跡、管理、保護できる上に、API(Application Programming Interface)を介して、前の工程のテストデータにアクセスすることも可能だ。
アドバンテストは2018年に、半導体のバリューチェーン全体をサポートすることを目指す中長期ビジョン「Advantest Grand Design」を発表した。ACSも、その取り組みの一環だ。木村氏によると、Advantest Grand Designは今後7〜8年を視野に入れたものだが、ACSについては今後数年間をメドに主要な箇所の構築は完成させる予定だ。
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