ソニーが20年度通期業績を上方修正、CMOSセンサーも想定上回る:PS5、音楽事業がけん引
ソニーは2021年2月3日、2021年3月期(2020年度)第3四半期(2020年10〜12月期)決算を発表するとともに、2020年度通期業績予想を上方修正した。
ソニーは2021年2月3日、2021年3月期(2020年度)第3四半期(2020年10〜12月期)決算を発表した。2020年度第3四半期業績は、新型ゲーム機「PS5」の発売や音楽事業での増収により、売上高2兆6965億円(前年同期比2334億円増)、営業利益3592億円(同比591億円増)の増収増益を達成。2020年度第3四半期累計(2020年4〜12月期)業績についても、売上高6兆7789億円(前年同期比2678億円増)、営業利益9054億円(同954億円増)の増収増益になった。
好調だった第3四半期業績を受けて、通期業績見通しを前回予想(2020年10月)から上方修正。売上高8兆8000億円(前年比5401億円増/前回予想比3000億円増)、営業利益9400億円(前年比945億円増/前回予想比2400億円増)を見込んでいる。
PS5「1台でも多く出荷したい」
PS5の第3四半期における出荷実績は450万台で、2020年度末までに当初の計画通り760万台の出荷を予定する。2021年度については、1480万台以上の出荷を計画しているが「強い需要があり、我々としては1台でも多く出荷したいと考えている。ただ、当初予定を上回って出荷量を増やすには、少なからず世界的な半導体不足の影響を受けることになる。その中でベストを尽くして当初予定を超えるような出荷を目指していきたい」(同社副社長兼最高財務責任者[CFO]の十時裕樹氏)とする。
スマホ向け需要旺盛で当初想定より減収幅小さく
CMOSイメージセンサーを主力とするイメージング&センシング・ソリューション(以下、I&SS)分野の第3四半期売上高は、米国の輸出規制に伴うHuawei向け出荷減の影響で前年同期比10%減の2669億円になった。前年同期比大幅減収となったものの、Huawei向けの製品出荷の一部を再開できたことや、Huawei以外の大手スマートフォンメーカーからの受注増により、当初計画よりも減収幅を小さく抑えた。加えて、第4四半期(2021年1〜3月期)も引き続き、スマートフォン向け需要が好調に推移する見通しで、同分野における2020年度通期業績見通しを上方修正した。修正後のI&SS分野通期業績見通しは、売上高1兆100億円(前年比606億円減/前回予想比500億円増)、営業利益1360億円(前年比996億円減/前回予想比550億円増)。
なお、第3四半期における月平均ウエハー投入枚数は、当初想定の11万枚を上回る11万7000枚で「(自社製造工場は)フル稼働だった」(十時氏)。第4四半期については月平均12万7000枚のウエハー投入を見込んでいる。
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