3D NANDフラッシュの製造コストを2022年まで予測:福田昭のストレージ通信(181) アナリストが語る不揮発性メモリの最新動向(8)(1/2 ページ)
今回は3D NANDフラッシュのシリコンダイ製造コストが2020年〜2022年にどのように変化するかを解説する。
大手メーカー5社のシリコンダイ製造コストとその推移
フラッシュメモリとその応用に関する世界最大のイベント「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」が2020年11月10日〜12日に開催された。FMSは2019年まで、毎年8月上旬あるいは8月中旬に米国カリフォルニア州サンタクララで実施されてきた。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の世界的な大流行(パンデミック)による影響で、2020年のFMS(FMS 2020)は開催時期が3カ月ほど延期されるとともに、バーチャルイベントとして開催された。
FMSは数多くの講演と、展示会で構成される。その中で、フラッシュメモリを含めた不揮発性メモリとストレージの動向に関するセッション「C-9: Flash Technology Advances Lead to New Storage Capabilities」が興味深かった。このセッションは4件の講演があり、その中でアナリストによる3件の講演が特に参考になったので、講演の概要をご紹介する。
なお講演の内容だけでは説明が不十分なところがあるので、本シリーズでは読者の理解を助けるために、講演の内容を適宜、補足している。あらかじめご了承されたい。
本シリーズの第4回から、半導体メモリのアナリストであるMark Webb氏の「Flash Memory Technologies and Costs Through 2025(フラッシュメモリの技術とコストを2025年まで展望する)」と題する講演の概要を紹介している。第4回は、3D NANDフラッシュメモリ(以降は「3D NANDフラッシュ」と表記)大手の近況を、第5回は中国の3D NANDフラッシュベンチャー、YMTC(Yangtze Memory Technologies Co., Ltd.)の現状を、第6回(前々回)は次世代3D NANDフラッシュの姿を、第7回(前回)はウエハーコストが世代交代でどのように変わるかをご報告した。
講演の目次。今回は目次の4番目に関する講演部分をご説明する。出典:FMS 2020の講演「Flash Memory Technologies and Costs Through 2025」の配布資料(クリックで拡大)
今回は3D NANDフラッシュのシリコンダイ製造コストが2020年〜2022年にどのように変化するかを解説する。対象品目は64層のTLC(3ビット/セル)品(メーカーは不明)、96層のTLC品(大手メーカーA社からE社までの5社)、96層のQLC(4ビット/セル)品(大手メーカーB社)、128層のTLC品(大手メーカーA社からE社までの5社)、128層のQLC品(メーカーは不明)、176層のTLC品(同)、176層のQLC品(同)、256層のTLC品(同)、中国YMTCの64層(TLCだと思われる)品である。
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