作り手の“腕の見せ所”、「Apple Silicon M1」の層数を解析する:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(50)(3/4 ページ)
今回は、「Apple Silicon M1」の断面を解析し、層数や配線について解説する。配線に満ちている電子機器では、配線や配置は「腕の見せ所」ともいえる重要な技術だ。
Silicon M1とA14 BIONICの層数を比較する
図4に、2020年10月に発売された「iPhone 12」などに採用された「Apple A14 BIONIC」の断面を示す。A14 BIONICは内部にタテ積みでDRAMとSoC、さらにメインの基板の反対面にはA14 BIONICを制御する電源ICが配置されている。
詳細は上からDRAMとしてLPDDR4Xが2枚、DRAMとSoC間を接続する配線層、SoC、SoCを端子に接続するためのInFO部、さらに一部シリコン容量、A14 BIONICとメイン基板を接続するボール、メイン基板、メイン基板と電源ICを接続するボール、電源ICとなっている。
メイン基板の配線層数はMacBook Airよりも2層少ない、10層構造となっている。
弊社では各チップの表面をさらに拡大し、DRAMチップの配線層数、SoCの配線層数、シリコン容量の配線層数、電源ICの配線層数なども明らかにした。
表1は、一部数字を黒塗りさせていただくが(弊社刊行物テカナリエレポートでは全て公開)Apple Silicon M1のメイン基板、各シリコン、パッケージまで含めた総配線層数、同じくApple A14 BIONICの全配線層数をまとめたものである。M1はDRAM部とSoC部が平置きなので、おのおのの層数を別行とした。
Apple Silicon M1はシリコン上の配線層数まで含めて、トータルのDRAM部で28層、SoC部で30層、Apple A14 BIONICは背面に電源ICを持っているので配線層数はM1よりも多い39層構造となっていることが判明した。この層数を多いとみるか、少ないとみるかは、2021年に発売されたスマートフォン2機種に搭載された、5nmで製造されるプロセッサの断面解析を行って、比較してから判断する。
ちなみに、これら2つのプロセッサとは、Qualcommの「Snapdragon 888」とSamsung Electronicsの「Exynos 1080」である。弊社は現在、両チップを解析中だ。
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