作り手の“腕の見せ所”、「Apple Silicon M1」の層数を解析する:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(50)(4/4 ページ)
今回は、「Apple Silicon M1」の断面を解析し、層数や配線について解説する。配線に満ちている電子機器では、配線や配置は「腕の見せ所」ともいえる重要な技術だ。
SnapdragonおよびExynosと比較する
図5は、上記のSnapdragon 888やExynos 1080の前身(2020年の最上位)となる「Snapdragon 865」(7nmプロセス)、「Exynos 990」(7nmプロセス)のパッケージ、シリコンの接続関係とApple A14 BIONIC(5nmプロセス)との比較である。
Appleは2017年の「Apple A11 BIONIC」からInFOという構造を用いており、パッケージの配線層数が少ないものになっている。一方、QualcommやSamsungはPOP(Package On Package)という実装方式を用いており、層数が若干多い構造となっている。どちらが良いというわけではなく、こうした2方式が現在並行して先端を走っている。
配線層数が少ないという点ではAppleが用いる方式の方が、トータルの配線容量やコストを削減できる可能性は高い。一方でPOP方式では、DRAMのみを付け替えればさまざまなサプライヤーのメモリでの製品展開が容易となる。またDRAMの容量(2G、4G、8G)の展開も容易にできるものとなっている。
ともに一長一短があるのだ。
図6は、2020年にSamsungが発売したフラグシップスマートフォン「Galaxy S20 Ultra」のカメラユニットの断面解析の様子(一部)である。
1億800万画素のワイドカメラのレンズ構成やCMOSイメージセンサー、望遠カメラなどが断面解析によって明確になっている。チップだけでなく配線構造、レンズ構成なども、弊社では続々と解析し構造を明らかにし、毎週情報をテカナリエレポートで発信している。
今後も平面解析、断面解析を行い、構造を明確にしていく。
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