【付録】あの医師がもっと伝えておきたい“9個の補足”:世界を「数字」で回してみよう(67)番外編(8/9 ページ)
あの“轢断のシバタ”医師が、コロナワクチンについて伝えておきたい7つのこと。本稿は、その付録となります。
(付録H)筋注の打ち方、打たれ方
時代によって筋肉注射の仕方も、はやり廃りがあります。臨床試験は現在流行っている筋肉注射のやり方で試験されていますので、それに倣ったやりかたで注射されるのが、約束された効果を得るために重要(安心)です。
そして、世の中には筋注に慣れている医師と、慣れていない医師、現在のやり方に親しんでいる医師と過去のやり方を好む医師、さまざまな医師がいます。自分(あなた)の身を守るためにできることを書き出してみましたので、興味があればご一読ください。
(1)肩が露出できる洋服を準備しましょう。これが非常に、クリティカルに大切です。特に女性は、家で肩を出すリハーサルをしていただけると大変助かります。
もしも肩が完全に露出しない服で注射を打つ場合、接種する医師は『めんどくさいから服との境ギリギリの打ちやすいところに打ってお茶を濁そう、どうせ問題起こらないし、バレないし』と考えます。その場合、神経損傷や血管穿刺の確率が、ほんのわずかですが上昇します。
(2)ベルトは緩めておきましょう。過度な緊張は血圧に影響してしまいますので、リラックスできる服装が大切です。緊張は、接種後の一過性の血圧低下などを誘発することがあります(血管迷走神経反射)。
(3)体調の良いときに接種しましょう。前日に深酒、過度な筋トレなどは控えましょう。
(4)満腹での接種は控えましょう。気持ち悪くなったときに吐き散らすのは自他共にダメージ大です(特に本人に意識が無かった場合は窒息しかねません)。
(5)逆に、絶食、絶水での接種も控えましょう。極端はだめです。リラックスした状態で接種できるようにしてください。
(6)腕は、「だらんと下げる」が基本です。腰に手を当てるポーズは、筋肉注射を行う場合は推奨されているわけではありません。上腕骨の向き的に、腕はだらんと下げるのが基本です。
もしも「腰に手を当てて」と指示されたら、手のひらで腰を押すようにしましょう。そうすると三角筋が弛緩します。逆に、肘を外に出す方向に力を入れると、三角筋が硬くなります。力が入っていないところに薬液を注入するのが基本です。
(7)刺されたときに骨にあたった気がしたり「ビリッ」としびれたら、遠慮無く、即座に申告しましょう。正直に、物怖じせずに「痛すぎます。骨に当たってますよね?」「ビリッとします、神経刺したんじゃないですか?」と、大きな声で言いましょう。
(8)血液の逆流を確認する医師と、しない医師がいます。しなくても良いことになっていますし、最近の指針上はする事の不利益について言及されていますが、ごくまれに血管に針先が入っていることが経験上あると主張する医師(ベテランに多い)もいるので、私はどちらでも良いと思っています。この点については、余り不安にならなくて良いと思います。
(9)無事に接種(注射)が終わったら、もまずにそのまま軽く抑えるだけにしてください。もんではダメです。
(10)接種後は30分の経過観察が安全のためには理想です。暇つぶしを用意しておきましょう。30分より早く会場を移動しなければならない場合には、接種後にすぐに一人になることを避けましょう。必ず助けが呼べる状況をキープしましょう。
(11)万が一、呼吸困難、唇や粘膜の腫れ、気分不快その他の異常があったら、即座に会場またはクリニックの誰かに相談しましょう。
もしも既に会場を離れている場合には、一緒にいる知人に「意識がなくなったらちゃんと救急車を呼んでね?」と声をかけておきましょう。急変に慣れていない人は「呼吸停止状態にもかかわらず様子を見てしまう」というシャレにならないうっかりミスが発生します。
人間、慣れていないと119番を忘れることが本当にあるのです。倒れた人をみたら、躊躇(ちゅうちょ)することなく119番通報することは、実は勇気が必要です。
(12)ワクチン接種の参考となる資料はインターネット上にあふれています。一度見ておくと、不安も減るのでは無いでしょうか?(例えば、こちらやこちら)
それでは、皆さまが安全にワクチン接種を終えることを祈ります。
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