この記事は、2021年3月29日発行の「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」に掲載されたEE Times Japan/EDN Japanの編集担当者による編集後記の転載です。
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ルネサス火災、早期復旧を信じられないほど現場写真に衝撃
うわぁ……。
3月21日、3月19日未明に発生した那珂工場での火災を受けてルネサス エレクトロニクスが開いたオンライン会見。火災現場の写真が公開された時、その目を覆いたくなるような惨状を目の当たりにして、思わず、言葉にならない声が出てしまいました。金属が熱で溶け、周囲は煤(すす)で真っ黒。真っ白な空間に装置が整然と並び、近寄りがたい清潔さを誇るあのクリーンルームだとは全く思えない、真逆の様相でした。
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・ルネサス那珂工場火災、大変厳しい状況だが、1カ月以内の生産再開へ全力
その衝撃は、ちょうど10年前の東日本大震災で被災した大きな被害が出た那珂工場のクリーンルームの様子をも超えるものでした。東日本大震災で被災した那珂工場のクリーンルームも、壁が倒壊し、天井が崩れ、装置が傾き、まさにグチャグチャの惨状に大きなショックを受けたことを覚えていますが、まだ、そこがクリーンルームであるということが想像できる範囲でした。今回の火災現場は、そこがクリーンルームであることが全く感じられないほどの惨状で、復旧まで相当の時間がかかることを覚悟しました。
▼東日本大震災当時の那珂工場に関する記事▼
・「ほっとした」――ルネサスが生産再開の那珂工場を公開
10年前の那珂工場は、生産再開まで約3カ月を要し、生産規模が被災前の水準に戻る完全復旧まで約半年を要しました。今回の火災は、現場写真から伝わるその様子から、復旧まで、もっと時間がかかると思ったわけです。
しかし、ルネサスの社長兼CEOを務める柴田英利氏は「1カ月以内での生産再開に向けて、尽力していく」と言及しました。
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