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コラム

半導体工場の過去の地震被害と復旧までの時間東日本大震災、岩手・宮城内陸地震

過去、半導体工場は地震被害を受け、稼働停止を余儀なくされてきた。

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 2016年4月14日の夜以降、断続的に大きな揺れが続いている熊本県を中心とした九州の地震で、熊本地区の半導体工場が稼働を停止している(関連記事:半導体工場、余震で被害確認が難航――熊本地震)。これまでも、半導体工場、特に、ウエハー加工を行う半導体前工程工場は、地震被害に遭いやすく、地震で大きな被害が生じてきた。

東日本大震災

 最も記憶に新しいところでは、2011年3月11日に発生した東日本大震災で、一時、東日本地区のほぼ全ての工場が稼働を停止した。工場再稼働の大きな妨げになったのが、主に停電だった。計画停電などの実施により復旧作業が思うように進まず、東日本地区の多くの半導体工場で1週間から1カ月の期間にわたり、操業が止まった。


東日本大震災では、ルネサス那珂工場でクリーンルームが破損するなど大きな被害が発生した 出典:ルネサス エレクトロニクス

 また東日本大震災では、ルネサス エレクトロニクスの那珂工場(茨城県ひたちなか市)は、大きな揺れに見舞われ、建屋/クリーンルームが損壊する大きな被害が受けた。その後、協力企業や顧客企業の支援などを得て、懸命の復旧作業が行われたが、一部稼働を再開するまでに約3カ月の時間を要し、完全復旧まで半年程度かかった(関連記事:「ほっとした」――ルネサスが生産再開の那珂工場を公開)。

 今回の地震では現在のところ、熊本地区の半導体工場の建屋に大きな被害は確認されておらず、ルネサス那珂工場のような数カ月程度の復旧期間を要する被害はなさそうだ。

岩手・宮城内陸地震

 2011年以前にさかのぼると、2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震で、岩手県内にある半導体工場が被災した。その被災した工場の1つである富士通マイクロエレクトロニクス岩手工場(当時)は、地震の揺れで、製造設備に破損が生じ、完全復旧までに1カ月半程度の時間を要した。その際、縦型拡散炉と呼ばれる石英ガラス製の部材調達に時間を要し、工場再開を遅らせる要因となった。その後、富士通では、岩手・宮城内陸地震での教訓を生かし、非免震構造の工場の拡散炉に免震台を設置するなどの対策を施し、前工程で7日間程度で工場を復旧させる事業継続マネジメントを構築するなどしていた(富士通セミコンダクターの当時のニュースリリース)。


2015年1月にルネサスが自社イベントで顧客向けに開示したリスク対応例の資料 (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 今回の熊本地震では、ルネサスの川尻工場で一部の石英ガラス部材の損傷が確認されているという。

 ルネサスは東日本大震災での那珂工場被災を契機に、各工場でさまざまな災害リスクへの対策を進めてきており、今回、地震の影響を受けた川尻工場でも、地震や津波/洪水、火山噴火、火災といった災害への対策を講じているとする。その他にも、万が一の被災に備え、他の工場で代替生産できる体制も一定程度、整えているという。

余震続き、確認難航

 今回の地震で影響を受けている半導体工場の詳細な被害状況はまだ明らかになっておらず、また余震も収っていないことから、復旧までどの程度時間を要するかは分からない。過去の事例を見る限りでは1週間から1カ月程度と推測されるが、幾度の被災を教訓に各社が備えてきた事業継続計画が機能し、早期、復旧が図られることを期待したい。

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