CAN FD用コモンモードフィルタを量産開始、TDK:良好な信号モード変換特性を実現
TDKは2021年4月6日、次世代の車載LAN規格であるCAN FDに向けたコモンモードフィルター「ACT1210Dシリーズ」として、「ACT1210D-101-2P」を発表した。3.2×2.5×2.5mm(3225サイズ)と小型で、「業界最高レベル」(TDK)のモード変換特性(Ssd21)を実現したとする。【修正あり】
TDKは2021年4月6日、次世代の車載LAN規格であるCAN FDに向けたコモンモードフィルター「ACT1210Dシリーズ」として、「ACT1210D-101-2P」を発表した。3.2×2.5×2.5mm(3225サイズ)と小型で、「業界最高レベル」(TDK)のモード変換特性(Ssd21)を実現したとする。
ADAS(先端運転支援システム)や自動運転技術の導入に向け、車載ネットワークでは従来のCANから、より高速な通信が可能なCAN FDの採用が今後増えていくと予想されている。それに伴い、コモンモードフィルターもCAN FDに対応したものが必要になる。「CAN FD対応のコモンモードフィルターがなければ、外部からのノイズが信号ラインに乗ってしまい、信号と誤認識してしまう可能性があるからだ」(TDK)
そこでACT1210Dシリーズでは、巻線の設計を最適化することで、良好なモード変換特性を実現した。これにより通信品質の向上に貢献するとTDKは説明する。さらに、信号の立ち上がり/立ち下がり時に発生するリンギングを低減するために、フィルター内の2本のライン間(ワイヤ間)の距離を延ばすことでライン間の容量を下げている。
ACT1210DシリーズのSパラメーター特性。モード特性変換は、下段のグラフのSsd21やSsd12で示されている(緑の線がACT1210Dのもの)。ライン間容量(上段右端のグラフ)も、TDKの既存のCAN対応コモンモードフィルター「ACT1210シリーズ」に比べて低減していることが分かる 出典:TDK(クリックで拡大)
【修正:2021年4月7日16:30 当初、説明用に2枚の図版を掲載していましたが、TDKからの申し入れにより、内容を1枚にまとめた図版に差し替えています。】
ACT1210D-101-2Pのコモンモードインダクタンス(100kHz、100mVにおいて)100μH(誤差:−30%〜+50%)。AEC-Q200に準拠している。金属端子と、レーザー溶接による継線方法の採用により−40〜150℃の使用温度範囲に対応する。
サンプル単価は150円。2021年4月から、月産6万個の規模で量産を開始している。
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