Apple、Samsung、Huawei――出そろった5nmチップを比較する:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(52)(2/3 ページ)
Apple「iPhone 12」シリーズを皮切りに、ハイエンドスマートフォン市場では5nmプロセスを適用したプロセッサを搭載したモデルが続々と投入されている。一通り出そろった5nmチップを比較してみよう。
歴代「Galaxy」に搭載されている「Exynos」シリーズ
図3は図2同様、2021年1月に発表、発売もされたSamsungのミドルハイ仕様のスマートフォン「Galaxy S21 5G」の分解写真である。背面カバー、非接触充電用のコイル、メイン基板取り出しとプロセッサ拡大を掲載した。プロセッサは前出の2機種とは異なり、自社(Samsung)製のハイエンドプロセッサ「Exynos 2100」が採用されている。
Exynosは2010年に生まれたSamsung独自のプロセッサで、歴代のGalaxyに採用されている。図3ではミドルハイ仕様に採用されているが、ハイエンドにも使われる組み合わせもある。Qualcomm > Samsungという関係ではなく、Snapdragon 888 = Exynos 2100という関係で機種によって使い分けているわけだ。Exynos 2100は、Galaxy S21では8GB LPDDR5と組み合わされるが、12GB版も存在する。Galaxy S21もGalaxy S21 Ultraと同じく2層基板構造となっている。Galaxy S21は、カメラ画素数は上記2機種より若干仕様を落とした64M画素をメインで用いている。
ExynosとSnapdragonを使い分けるSamsung
表1は、図1から図3までの3機種をまとめたものである。Xiaomiは1層基板、Samsungは2機種ともに2層基板。カメラはハイエンド機では108M画素、ミドルハイでは64M画素となっている。DRAMはLPDDR5がともに用いられているが、容量が8GB、12GBと異なる。プロセッサもQualcommのSnapdragon 888とSamsungのExynos 2100に分かれている。本報告では触れないが、SamsungはExynos 2100よりも若干仕様を落とした、外販向けのプロセッサ「Exynos 1080」もリリースしている。
Exynos 1080は既に中国スマートフォンにも採用されている。
表2は、SamsungのExynos 2100とQualcommのSnapdragon 888の比較である。弊社では両チップとも開封して解析を行っており、チップ面積も0.01mm単位で正確な測長を行っている。本報告では伏字とさせていただいているが、サイズはぜひテカナリエレポートで確認いただきたい。
両チップはともに、Samsungの5nmプロセスで製造されている。AppleやHuaweiが台湾TSMC製であるのに対し、QualcommとSamsungという強力な2社はSamsungの5nmプロセスを用いているわけだ。
2チップはかなり似通った仕様である。ハイ/ミドル/ロー仕様という3階層のCPUを計8基(ハイ仕様CPU1基、ミドル仕様3基、ロー仕様4基)搭載し、ともに5Gモデムも1チップ化されている。5Gモデムのピーク速度もほぼ同等である。またAIアクセラレーターの演算性能も、26TOPSと同じ数字となっている。使われるGPUやDSPは異なっているが、性能は拮抗している。
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