HDD大手Western Digitalの四半期売上高は前期比が2期連続で拡大:福田昭のストレージ通信(198)(2/2 ページ)
今回は、Western Digitalの2021会計年度第3四半期(2021年1月〜3月期)の業績を紹介する。
クラウドを中心にエンタープライズ向けが急激に回復
部門別の売り上げを見ていこう。WDは売り上げを3つの部門に分けて公表している。その3つとは、「クライアント用デバイス(Client Devices)」部門、「データセンター用デバイス・ソリューション(Data Center Devices and Solutions)」部門、「クライアント用ソリューション(Client Solutions)」部門である。
「クライアント用デバイス」部門には、ノートPC用HDD、デスクトップPC用HDD、コンシューマーエレクトロニクス用HDD、クライアント用SSD、組み込み用製品などが含まれる。同部門の売上高は前四半期比(前期比)6%減、前年同期比10%増の20億1200万米ドルである。ノートPC向けとデスクトップPC向けのストレージ需要が引き続き好調だったほか、新型ゲーム機器の発売が売り上げの増加に貢献した。
「データセンター用デバイス・ソリューション」部門には、エンタープライズ用HDD、エンタープライズ用SSD、データセンター用ソフトウェア、データセンター用ソリューションなどが含まれる。同部門の売上高は前四半期比(前期比)53%増、前年同期比19%減の12億3700万米ドルである。第2世代のエンタープライズ向けNVMe SSDの販売が大手クラウドサービス企業向けに好調なことが、前期からの急激な回復を促した。
「クライアント用ソリューション」部門には、映像業務用HDD、映像業務用SSD、バックアップ用HDD、USBメモリ、SDカードなどが含まれる。同部門の売上高は前四半期比(前期比)12%減、前年同期比8%増の8億8800万米ドルである。リテール(販売店)需要が前年同期比の成長に貢献した。
フラッシュ応用品のGB単価は前四半期と同じ水準を維持
WDは「フラッシュ応用品(NANDフラッシュメモリの応用製品)」と「HDD製品」の売上高や粗利益率(Non-GAAPベース)などの数値を公表してきた。2021会計年度第3四半期(2021年1月〜3月期)における「フラッシュ応用品」の売上高は前四半期比(前期比)2.8%増、前年同期比5.5%増の21億7500万ドルである。粗利益率は30.0%で、前の四半期に比べて2.9ポイント増と大幅に上昇した。前年同期比では3.5ポイント増である。
フラッシュ応用品のビット換算の出荷容量は前の四半期と比べて8%増えた。記憶容量当たりの平均販売価格(GB単価)は、全製品(Blended)で前四半期から2%低下し、同一製品(Like-for-like)では前四半期と同じ水準を維持した。GB単価は低下するのが普通なので、変わらないというのは異例のことだ。需給バランスが供給不足に傾いていることがうかがえる。
HDD製品の売上高は前四半期比(前期比)2.8%増、前年同期比7.2%減の19億6200万米ドルである。粗利益率は25.0%で前の四半期と比べて0.6ポイント低下した。前年同期比では4.3ポイント減である。
HDD製品の販売台数はクライアントコンピュート(PC)向けが920万台、ノンコンピュート(リテールおよびコンシューマー)向けが830万台、データセンター向けが570万台である。前の四半期に比べるとクライアントコンピュート向けが150万台減少し、ノンコンピュート向けが180万台減少した。データセンター向けは80万台増加した。HDD製品全体の販売台数は2320万台である。前の四半期に比べて250万台減少した。
HDD製品の平均販売価格(ASP)は82米ドルである。前の四半期から9米ドル上昇した。単価の高いデータセンター向けの台数が増加したことがASPを押し上げたとみられる。
(次回に続く)
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