「VLSIシンポジウム2021」は2度目のバーチャル開催:コロナ下でも研究活動は活発(2/2 ページ)
VLSIシンポジウム委員会は2021年4月27日、オンライン記者説明会を開催し、6月13〜19日に開催される「VLSIシンポジウム2021」の概要や注目論文を紹介した。
メモリやNew Computingの発表が多い
記者説明会では、VLSI Technologyシンポジウム/VLSI Circuitsシンポジウムの投稿論文数や採択論文数も発表された。
今回のVLSI Technologyシンポジウムの投稿論文数は189件で、採択数は81件。地域別の投稿論文数は米国が1位、台湾が2位、欧州が3位という結果になった。日本は19件で6位だった。一方で採択数は1位が欧州、2位が米国と台湾、4位が日本と韓国となっている。
採択論文数を分野別で見ると、メモリ関連の論文が多い。メモリ関連の採択論文数は2020年の20件から、ことしは28件に増えている。また、New Computing関連の論文が多いことも、ことしの特長だという。一方で、先端CMOSデバイス/プロセスに関する論文は2020年に比べて減少した。
投稿論文数は中国、台湾が大幅増
VLSI Circuitsシンポジウムでは、300件の論文が投稿され、102件が採択された。2年前に京都で開催された「VLSIシンポジウム2019」に比べて投稿論文数はほぼ同じで、VLSI Circuitsシンポジウム シンポジウム委員長の竹内健氏は、「コロナ下にもかかわらず、皆さんが研究活動に励んでいることが伺える」とコメントした。
分野別では、VLSI Technologyシンポジウム同様、メモリが増えている。一方で、データコンバーターは減少傾向にある。
投稿論文数は、2019年に比べると日本は20件から12件に減少。一方で韓国は66件から72件に、台湾が29件から42件に、中国が25件から31件と増加している。採択論文数はトップが米国で2位が韓国、3位が台湾と中国で、日本は5位となった。「投稿論文数と採択論文数はやはり異なり、中国は投稿数は増えたが、採択数で見るとそれほどの増え幅はない。米国は相変わらず強く、韓国が長期的に見るとかなり増えていることが分かる」(竹内氏)
採択論文数を機関別に見ると、韓国のKAIST(韓国科学技術院)がトップで、Samsung ElectronicsとIntelがそれに続く。日本では、東京大学が2件、東京工業大学が2件となった。分野別に見ると、デジタルのうちプロセッサ・アーキテクチャの比率が最多で18件だった。
なお、各シンポジウムの注目論文については別途、紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 1nmが見えてきたスケーリング 「VLSI 2020」リポート
初のオンライン開催となった「VLSIシンポジウム 2020」から、スケーリング、EUV、3D ICの3つについて最新動向を紹介する。 - ムーアの法則 次なるけん引役は「チップレット」 〜IEDM2020に見る先端パッケージ技術
今回は、「IEDM2020」から先端パッケージの講演をいくつか紹介する。そこで見えてきたのは、今後「ムーアの法則」のけん引役となるかもしれない「チップレット」技術と、その開発競争が進んでいるということだった。 - ムーア則の維持に貢献する配線技術
「VLSIシンポジウム」から、オンチップの多層配線技術に関するIntelの講演内容を紹介するシリーズ。将来の配線技術には、サブトラクティブ法や低誘電率絶縁材料などに期待がかかっている。 - 半導体業界のトレンドは「3次元化」が明確に VLSI 2019
2019年のVLSIシンポジウム(以下、VLSI)が6月9〜14日に、京都のリーガロイヤルホテルで開催された。今後の半導体業界の進む方向性を伺える内容が多かったのでレポートする。 - Samsungが次世代2.5D実装技術「I-Cube4」を発表
Samsung Electronics(以下、Samsung)は2021年5月6日(韓国時間)、2.5D(2.5次元)パッケージング技術「I-Cube4」(Interposer-Cube4/アイキューブ4)の提供を開始したと発表した。 - IBMが「2nm」プロセスのナノシートトランジスタを公開
IBMは、米国ニューヨーク州アルバニーにある研究開発施設で製造した「世界初」(同社)となる2nmプロセスを適用したチップを発表した。同チップは、IBMのナノシート技術で構築したGAA(Gate-All-Around)トランジスタを搭載している。