エプソン、ICチップ型LiDARを開発する米社に出資:自動車や産業ロボットなど視野に
セイコーエプソンと子会社のエプソンクロスインベストメントは2021年5月、ICチップ型LiDARを開発、販売する米国SiLC Technologiesに出資した。
FMCW方式のLiDARで、計測距離や消費電力に強み
セイコーエプソンと子会社のエプソンクロスインベストメントは2021年5月、ICチップ型LiDARを開発、販売する米国SiLC Technologies(シルク・テクノロジー)に出資した。
LiDARは、照射したレーザー光が対象物で反射してきた光を観測し、対象物までの距離や瞬間速度を計測することができる装置である。自動運転やADAS(先進運転支援システム)などの用途で採用が広がる。
SiLC Technologiesは、2018年に設立されたスタートアップ企業。シリコンフォトニクス技術を活用してLiDARを開発する。同社のLiDARは、FMCW(周波数変調連続波)方式を採用しているのが特長だ。従来のToF(Time of Flight)方式に比べて、計測距離と消費電力に優れているという。センサーの性能や1チップに集積する技術、製造ノウハウなどでも同社は強みを持つ。
エプソンは今後、自社が保有する人や物体の動き、あるいは位置情報などを測定するセンサー技術と、SiLC Technologiesが強みとするLiDAR技術を組み合わせたソリューションを、自動車や産業ロボットなどの用途に提案していく予定である。さらには、さまざまなコア技術を組み合わせ、新たな応用分野の開拓などにも取り組むことにしている。
エプソンクロスインベストメントは、エプソンが100%出資するCVC(Corporate Venture Capital)である。独立系ベンチャーキャピタルのグローバル・ブレインと結成したファンド(EP-GB 投資事業有限責任組合)を通じて投資活動を行う。SiLC Technologiesへの出資もその1つである。
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