昭和電工とSeagate、HAMR対応HDメディアの共同開発契約を締結:FePt新磁性体を共同で評価へ
昭和電工とSeagateは2021年6月10日、HDDの次世代記録技術である熱アシスト磁気記録(HAMR)に対応した次世代ハードディスクメディア(HDメディア)を共同で開発する契約を締結したと発表した。
昭和電工とSeagate Singapore International Headquarters(以下、Seagate)は2021年6月10日、HDDの次世代記録技術である熱アシスト磁気記録(以下、HAMR)に対応した次世代ハードディスクメディア(以下、HDメディア)を共同で開発する契約を締結したと発表した。
両社は共同開発契約に基づき、昭和電工が開発したFePt(鉄 白金)新磁性体と、両社が将来開発する同磁性体を評価するという。昭和電工では「この協業により、両社のHAMR対応HDD関連技術の開発スピードを一層加速させる」としている。
HAMRはHDDの記録容量を高密度化する技術。記録時にHDメディアの磁性膜を局所的に加熱しデータを微小なサイズで書き込めるようにするもの。Seagateは長年にわたり、HAMR対応HDDの技術開発を進め、2020年にはHAMR技術による20Tバイト容量HDDの出荷を始めている。
昭和電工は、HAMRに対応する技術として従来のHDメディアでは実現が困難とされてきたFePt合金の超高温規則化温度を実現しつつ量産を可能にするメディア製造技術の構築にメドをつけ、2020年2月にHAMR対応HDメディアを開発したと発表していた。
昭和電工では「今後も“ベスト・イン・クラス”をモットーに、世界最大のHDメディア専業メーカーとして、HAMR、MAMR(マイクロ波アシスト記録方式)などの次世代記録技術に対応した業界最高クラスの製品をいち早く市場に投入し、HDDの高容量化に貢献していく」とコメントしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- HDD大手Seagateの四半期売上高は前期比が3四半期ぶりに増加
HDD大手ベンダーの米Seagate Technologyが2021会計年度第2四半期(2020年10月〜12月期)の業績を発表した。今回は、その業績について解説する。 - 東芝ら、HDD用書き込みヘッドの磁化挙動を解析
東芝と高輝度光科学研究センター(JASRI)および、東北大学は、HDD用書き込みヘッドの磁化挙動を100億分の1秒という高い精度で画像化することに成功した。東芝は、次世代HDD向け書き込みヘッド開発に、今回の解析技術を応用していく。 - 東芝、3.5型ニアラインHDDの新シリーズを投入
東芝デバイス&ストレージは、3.5型ニアラインHDDの新シリーズとして「MG08-Dシリーズ」を製品化、2021年第1四半期(1〜3月)からサンプル出荷を始める。 - 光を用い薄膜磁石の極性を制御する新手法を開発
東北大学電気通信研究所とロレーヌ大学(フランス)の共同研究チームは、光を用い高速かつ低エネルギーで薄膜磁石の極性を制御できる方法を開発した。これをHDDの記録方式に応用すれば省エネ化が可能となる。 - “ネットワーク研究者”がネット詐欺に遭った日
2015年7月のある暑い日。私は自分がインターネット利用詐欺に遭ったことに気付きました。19歳でPCを譲り受けて以来、ネットワークとともに生き、インターネットの商用発展にできる限り尽くし、自称“ネットワーク研究者”でもある私が、ついにインターネット利用詐欺の餌食となってしまったのです。 - 従来比4.1倍、磁気テープの高速化読み出し技術を開発
富士通研究所は2020年3月3日、磁気テープストレージのランダム読み出し性能を従来比4.1倍にする高速化技術を開発した、と発表した。低コスト、大容量なデータアーカイブ基盤としての利用を促進するもので、2022年度中の製品化を予定している。