富士通ゼネラル、高耐圧GaNパワーモジュールを製品化:2030年事業規模100億円目指す
富士通ゼネラルの子会社である富士通ゼネラルエレクトロニクスは2021年6月15日、高耐圧GaN(窒化ガリウム)FETを用いたGaNパワーモジュールを開発し、2021年秋からサンプル出荷を開始すると発表した。
富士通ゼネラルエレクトロニクス(以下、FGEL)は2021年6月15日、高耐圧GaN(窒化ガリウム)FETを用いたフルブリッジ構成のGaNパワーモジュールを開発し、2021年秋からサンプル出荷を開始すると発表した。同社では「(650Vクラスの)高耐圧GaNーFETを搭載したゲートドライブ回路内蔵フルブリッジ構成モジュールの製品化は業界初」としている。
FGELは富士通ゼネラルの子会社で電子デバイス事業を展開。産業機器向けインバーター用シリコンパワーモジュールなどを手掛けてきた中で、2018年からGaNパワーデバイスを用いたモジュール製品の開発を進めてきたという。
今回開発したGaNパワーモジュールは、GaNパワーデバイス専業メーカーであるTransphormのFETチップ(最大定格650V/40A)を搭載。ゲートドライブ回路を搭載したFR4基板と、GaN-FETチップを搭載した高放熱樹脂絶縁基板を上下に重ねる2段構造を採用するなどしコストを抑えつつ、小型化を図った点が特長。ゲートドライブ回路を内蔵しながら4素子入りの4in1モジュールで34×63×12mm、6素子入りの6in1モジュールで35×46×8mmサイズを実現した。
電力損失については、400W級サーボモーターに試作サンプル品を搭載して評価したところ「IGBTパワーモジュールに比べて電力損失を半減できたことを確認した」(同社)という。
サンプル価格(税別/予定)は4in1モジュールが3万5000円、6in1モジュールで4万4500円。主に産業機器用電源やインバーター、サーバ電源、パワーコンディショナーなどの用途での採用を見込み、量産開始時期は「早ければ2022年秋ごろを見込んでいる」(同社)。また「Transphormの次世代GaNーFET搭載品の開発も進める他、今後2〜3年後の製品化を目指して車載対応品の開発も進めていく」とし、順次、製品ラインアップを拡充していく方針。「調査会社によると2029年ごろにはGaNモジュールの市場規模は600億円程度とされている。(FGELとしては)そのころ、2029年や2030年に100億円の事業規模を達成できるよう取り組んでいく」とした。
【お詫びと訂正】掲載当初、6in1モジュールのサンプル予定価格に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。(2021年6月15日午後6時17分/編集部)
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