非接触充電システムやGaNパワーモジュールを展示:オートモーティブ ワールド2020
新電元工業は、「オートモーティブ ワールド2020」で、開発中の「非接触充電システム」や「車載用DC-DCコンバーター」、さらには大電力で高効率スイッチング電源に向けた「パワーモジュール」などを参考展示した。
最新のカーエレ技術を「見て、触れて、動きを実感」
新電元工業は、「オートモーティブ ワールド2020」(2020年1月15〜17日、東京ビッグサイト)で、開発中の「非接触充電システム」や「車載用DC-DCコンバーター」および、大電力で高効率スイッチング電源に向けた「パワーモジュール」などを参考展示した。ブースでは、「見て、触れて、動きを実感」をテーマに、自社のデバイス製品/電源装置とクルマとの関係性を分かりやすく紹介した。
EV/PHEV向けに開発を行っている非接触充電システムは、SUV相当の車高空間(170〜250mm)でも高い効率で電力を伝送することができる。これは、地面(送信コイル)から車載機(受電コイル)までの距離を定めた米国自動車技術会(SAE)のZ規格の中で、最も長い距離の電力伝送となる「Z3クラス」対応である。
開発に当たっては、磁界共鳴方式の非接触電力伝送技術を有する米国WiTricityとライセンス契約した。磁界共鳴方式は、電磁誘導方式に比べて長い空間の電力伝送に適しているという。その上、送受電コイル相互の位置や向きなどの自由度が高く、駐車位置が少しずれても効率よく充電できるのが特長だ。
脱炭素社会の実現に向けて、電力変換効率を高めたパワーモジュールも参考展示した。その1つが、耐圧650VのGaN(窒化ガリウム)パワーモジュールである。メインスイッチ素子にノーマリオフのGaN HEMTを2個組み合わせたハーフブリッジ回路をDIPパッケージに収めている。
GaN HEMTを用いることで、スイッチング周波数を1MHzまで引き上げることができ、従来を上回る高い効率と電流密度を実現することができるという。また、主要回路ブロックをモジュール化しているため、寄生インダクタンスや放熱を考慮した設計作業を省いたり、軽減したりすることができる。
新電元工業は、開発したGaNパワーモジュールを用い、出力1kWのLCC電流共振電源ボードを試作した。この評価ボードを用いてスーパージャンクション(SJ)-MOSFETを用いた場合と動作比較した。この結果、1MHzでスイッチングした時の電力変換効率はGaN HEMTを用いると96.8%、SJ-HEMTの場合96.3%となった。
この差は放熱フィンのサイズを13%も削減できることになる。この結果、LLC電流共振電源全体のサイズを約20%も小さくすることが可能だという。
関連記事
- 28nm FD-SOI車載マイコンやSiCパワーデバイスを公開
STMicroelectronics(以下、ST)は2020年1月15日から東京ビッグサイトで開催されている展示会「オートモーティブ ワールド」(会期:1月17日まで)で、新しい車載マイコン製品群「Stellarファミリ」やSiC(炭化ケイ素)を用いたパワーデバイス製品などを展示している。 - ams、VCSEL採用の小型LiDARモジュールをデモ展示
amsは、「オートモーティブ ワールド2020」で、車載向けVCSEL(垂直共振器面発光レーザー)技術を用いた小型LiDARモジュールのデモ展示などを行った。 - パワーモジュールの放熱技術と材料
今回は、ロードマップ第2章第5節の最初の項目である「サーマルマネジメント」から、「パワーモジュールにおける放熱技術と材料の動向」の概要を解説していく。 - 車載インバーターのSiC採用、2021年以降に活発化
ドイツ・ニュルンベルクで毎年5月ないし6月に開催されるパワーエレクトロニクスの展示会「PCIM Europe」において、年々存在感が高まっているのが、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)向けのパワーエレクトロニクス技術の紹介に特化したブース「E-Mobility Area」である。 - SiCパワーデバイスがモビリティの電動化を加速
今回は、電動化のキーデバイスである「パワーデバイス」に関してロードマップが記述した部分の概要をご紹介していく。 - TIのGaNパワー半導体ビジネスの狙いと勝算
Texas Instruments(TI)はパワー半導体市場でどのような戦略を立て、競合に対抗していくのか。同社ハイボルテージ・パワー部門バイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャを務めるSteve Lambouses氏にインタビューした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.