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オン抵抗6mΩ品など耐圧750VのSiC FETを発表UnitedSiCが9製品を新たに追加

米国UnitedSiCは、耐圧750Vでオン抵抗が6mΩと小さいSiC(炭化ケイ素)FETを発表した。競合するSiC MOSFET製品に比べオン抵抗は半分以下で、短絡保証時間定格は5マイクロ秒を実現している。

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製品のバリエーション拡大、選択肢も広がる

 米国UnitedSiCは2021年9月15日、耐圧750Vでオン抵抗が6mΩと小さいSiC(炭化ケイ素)FETを発表した。競合するSiC MOSFET製品に比べオン抵抗は半分以下で、短絡保証時間定格は5マイクロ秒を実現している。


TO-247-4Lの外観

 UnitedSiCで第4世代製品となるSiC FETは、SiC JFETとシリコンMOSFETの2チップをカスコード接続して、ワンパッケージに収めた製品である。この構成により、SiC FETはノーマリオフの動作をする。既に、750V SiC FETシリーズとしてオン抵抗が18/60mΩの4製品を販売中だ。

 そして今回、オン抵抗やパッケージが異なる9製品を発表した。新たに追加したのはオン抵抗が6mΩ品の他、9/11/23/33/44mΩ品である。これにより750V SiC FETシリーズは合計13製品になった。パッケージはいずれも「TO-247-4L」で供給する。18/23/33/44/60mΩ品については、「TO-247-3L」も用意している。日本での販売は国内正規代理店のマクニカ アルティマ カンパニーが行う。


耐圧750VのSiC FETシリーズ 出典:UnitedSiC

Chris Dries氏

 UnitedSiCの社長兼CEOを務めるChris Dries氏は、「SiC FETシリーズとして耐圧750V品を用意したことで、設計者に大きな設計マージンを提供することができる。オン抵抗も業界で最も低い6mΩ品に加え、60mΩ品まで幅広いオプションをそろえた。製品のバリエーションが増えたことで、性能や予算の面でも製品の選択肢が広がった」と話す。

 オン抵抗を競合他社の半分にできた理由として、同社は構造の違いなどを挙げる。他社製SiC MOSFETのオン抵抗は、「チャネル抵抗」と「JFET抵抗」「ドリフト層抵抗」「サブストレート抵抗」を加算した値になる。

 これに対し、SiC FETは「チャネル抵抗」がなく、その分は小さくできるという。さらに、サブストレートの厚みを薄くすることで、抵抗値を一段と下げることに成功した。この結果、ダイサイズが同じ素子であれば、他社製品と比べオン抵抗を半分以下にできるという。しかも、オン抵抗が6mΩ品では、短絡定格が5マイクロ秒という、強固な値を実現した。


UnitedSiC製品と競合他社製品のオン抵抗比較 出典:UnitedSiC

 新しいSiC FETは、単位ダイ面積当たりの導通損失である「オン抵抗×面積」などの性能指数(FoM)にも優れているという。一例として、同社はハードスイッチング回路とソフトスイッチング回路における優位性を挙げた。

 ハードスイッチング回路におけるFoM(オン抵抗×EOSS/QOSS)は、競合製品(耐圧650V SiC MOSFET)と比べ半分である。しかも、内蔵したボディーダイオードにより、競合するSiC MOSFET技術などに比べ、優れたリカバリー速度と順電圧降下を実現したという。ソフトスイッチング回路におけるFoM(オン抵抗×COSS(tr))は、同様に約30%も低いという。これによって、高い電力密度を可能にした。


性能指数の比較 (クリックで拡大) 出典:UnitedSiC

 750V SiC FETシリーズが合計13製品に拡大したことで、回路設計の柔軟性も格段に向上するという。「設計者はパワーレベルを決めて、適用する用途を選べば、効率やコスト、放熱などを考慮しながら、適切なデバイスを選定することができる」(Dries氏)という。

 適用分野の事例として、車載向けの「OBC(オンボードチャージャー)」や「DC-DCコンバーター」「EVトラクションインバーター」「ワイヤレスチャージャー」「バッテリーチャージャー」「トーテンポールPFC(力率改善)」などを挙げ、設計の柔軟性についてその概要を紹介した。

主な用途における回路設計の例。左は「OBC(オンボードチャージャー)やDC-DCコンバーター」、中央は「EVトラクションインバーター」、右は「バッテリーチャージャー」 (クリックで拡大) 出典:UnitedSiC

 UnitedSiCは、顧客の回路設計を支援するためのツール「FET-Jet Calculator 2.0」を用意した。AC-DCやDC-DCを含む26の電源トポロジーをサポートしているという。これを利用することで、選択したデバイスを用いた場合の損失や効率を事前に予測することが可能になる。最適なゲートドライバーとスナバも示されることから、設計の手戻りなどを最小限に抑えることができるという。

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